1986 Fiscal Year Annual Research Report
副腎髄質細胞膜リン脂質の代識促進とホルモン分泌との関連
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61480082
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 茂男 北海道大学, 獣医学部, 助手 (40109509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 利男 北海道大学, 獣医学部, 助手 (20176895)
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Keywords | 灌流副腎髄質 / 分離副腎髄質細胞 / ニコチン受容体 / ムスカリン受容体 / イノシトール・ミリン酸 / ホルボールエステル / Fre【II】 / Fre【II】AM / 細胞内Ca濃度 |
Research Abstract |
1.ネコ及びモルモット灌流副腎を用いての実験:(1).モルモット灌流副腎では、ニコチン(N)受容体刺激によるカテコールアミン(CA)分泌は、外液【Ca^(2+)】に依存し、等張KClによる脱分極下では消失するが、ムスカリン(M)受容体刺激による分泌は、外液【Ca^(2+)】に依存せず等張KCl下でも観察された。(2).MあるいはN受容体遮断薬存在下でアセチルコリン(Ach)による濃度反応曲線を描記した結果、生理的と考えられる低濃度AChによるCA分泌はM受容体を介する反応であった。(3).ネコ灌流副腎では、N受容体刺激では反応は外液【Ca^(2+)】に依存し、M受容体刺激では外液【Ca^(2+)】に依存していなかったが、両者の反応は等張KCl下では全て抑制された。(4).N受容体を介する分泌は、ホルボールエステル(TPA)により増強されたが、M受容体を介する反応はTPAで影響を受けなかった。 2.分離髄質細胞からのCA放出に対するイノシトールリン脂質代謝生成物関与の薬理学的検討:(1).M受容体刺激による分泌とリン脂質代謝亢進との関連を分析するために、モルモット副腎から髄質細胞を分離した。(2).分離細胞は灌流副腎の分泌反応と定性的に同様な反応を示した。M受容体を介するAChの反応は、Ca除去下(0.1mM,EGTA下)でも観察された。(3).現在、細胞内にイノシトール・ミリン酸を導入する目的で、ジギトニンを用いて分泌反応を保持した状態で細胞膜に穴を開ける条件を検討している。 3.髄質細胞内Ca濃度測定に関する至適条件の検討:(1).Fra【II】(1uM)を用いてCa濃度と蛍光強度との関連を調べた結果、蛍光強度は【10^(-8)】から2×【10^(-7)】MCaまで直線的に増加した。Fra【II】の濃度を増加(5〜10uM)すると蛍光強度は増加したが、Ca濃度と蛍光強度との関係は変化しなかった。(2).分離髄質細胞をFra【II】を含む溶液に浮遊し、細胞からのCa流出量を、また細胞内にFra【II】AMを取り込ませることにより細胞内Ca濃度を測定し、これらと分泌との関連を検討し始めている。
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