1987 Fiscal Year Annual Research Report
サケ科魚類の細菌性伝染病の免疫予防に関する基礎ならびに応用研究
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61480086
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊沢 久夫 北海道大学, 獣医学部, 教授 (50072351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 洋 北海道大学, 獣医学部, 助手 (20091449)
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Keywords | サケ科魚類 / 防御免疫機構 / C反応性蛋白 / 補体活性化 / Vibrio anguillarum / マクロファージ |
Research Abstract |
細菌感染に対するサケ科魚類の防御免疫機構の一端を解明するため, 前年度に引き続き以下の課題について検討を加えた. 1).Cー反応性蛋白(Cーreactive protein;CRP)の補体活性化機構:前年度で精製に成功したニジマス血清CRPの補体活性化作用を調べた. CRPのリガンドであるCー多糖(CーPolysaccharide;CPS)存在下で, CRPはニジマス補体の消費量を増大(補体を活性化)させた. CPS非存在下では補体は消費されないことから, CRPは補体を直接活性化しないことが推測された. また, 急性期血清はCPS非存在下においても補体を活性化した. 2).Vibrio anguillarumに対するニジマスの免疫予防におけるマクロファージ活性化とCRP産生:ホルマリン不活化V.anguillarumで免疫したニジマスは免疫早期に防御能を獲得し, マクロファージ活性が上昇することを前年度に明らかにした. 今年度はマクロファージ活性化におよぼすCRPの影響を検討した. 免疫に用いたアジュバントはCRPの濃度を顕著に上昇させ, アジュバントの炎症誘起作用をうかがわせた. マクロファージのV. anguillarum食作用に対する CRPの影響を検討した結果,CRPは食作用を増強させることが示された. さらに,in vitroにおけるV.anguillarum増殖に対するCRPの影響を調べた. CRPあるいはニジマス血清を培養中に加えると菌の増殖が抑制され, CRPあるいはCRPにより活性化された補体による菌の増殖抑制が推測された. これら実験結果は, ニジマスCRPは補体を活性化し, 食菌促進や菌の増殖抑制などを通して, 急性期における生体防御に重要な役割をはたすことを示唆する.
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