1988 Fiscal Year Annual Research Report
カンピロバクターの病原性の解析並びに本菌感染症の疫学に関する研究
Project/Area Number |
61480089
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Research Institution | Gifu university |
Principal Investigator |
金城 俊夫 岐阜大学, 農学部, 教授 (40045084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助手 (80196774)
橋本 晃 岐阜大学, 農学部, 助教授 (70021706)
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 助教授 (10144007)
平井 克哉 岐阜大学, 農学部, 教授 (30021702)
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Keywords | カンピロバクター / カンピロバクターの抗体分布 / カンピロバクターの分布 / カンピロバクターの薬剤耐性 / カンピロバクターのプラスミド |
Research Abstract |
今年度は主として、各種動物における本菌感染症の浸淫状況を知るための血清疫学調査と市街地のドブネズミを対象とした菌分離、分離菌の薬剤耐性とプラスミド(Pd)解析及び抗体分布との関連等を検討した。 抗体調査は、C.jejuniとC.coliの超音波処理抗原を用いるCF反応により行った。抗体陽性率は、サルでは35.4%(90/256)、特にアカゲザルでは61.4%(35/57)と高率であった。ヒトの陽性率は18.4%(48/261)で、うち養鶏場及び食鶏処理場勤務者は17.3%、一般市民は19.2%で、鶏との接触の有無により抗体陽性率に差はみられなかった。その他の動物の陽性率は、ウシ19.0%(33/174)、ドブネズミ13.8%(67/487)、ニワトリ5%(8/160)で、また、ブタ、ハト、ウズラ及びアヒルはそれぞれ197、50、25及び19例調べたが、陽性例は全く検出されなかった。糞便からのカンピロバクターの検出率がニワトリで57.9%(140/242)、ブタで60.5%(78/129)と高率であるに拘わらず、抗体陽性率が極めて低率であることは、本菌がこれら両動物種間では病原性を発揮することなく、常在菌の形で存在していることを示唆している。 次に、ドブネズミを対象とした各種調査は、名古屋市16区の全地域で捕獲した262匹(♂107、♀155)について実施した。糞便からの菌分離は53匹、20.2%が陽性で、うち36匹からC.jejuni、15匹からC.coliが分離された。分離率に性別による差はなかったが、体重別では重い程高率であった。分離株の51%が薬剤耐性株で、うちTC及びSM耐性株が多数を占めた。耐性株の33%がPdを保有し、感受性株の2.3%より高率であった。Pdの分子量は1.8〜35Mdで、うち3.7Md以下のPd保有株が60%を占めた。また2.1及び3.7Md PdとSM耐性との関連が、接合伝達試験等から示唆された。CF抗体陽性率は12.1%で、この場合も性別による差はなく、体重別では重い方が高率であった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 浅井鉄夫: 岐阜大学農学部研究報告. 53. 363-373 (1988)
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[Publications] 成田美香: 岐阜大学農学部研究報告. 53. 375-384 (1988)
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[Publications] 坂井智恵: 岐阜大学農学部研究報告. 54. (1989)
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[Publications] 成田美香: 岐阜大学農学部研究報告. 54. (1989)
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[Publications] 中村浩子: 岐阜大学農学部研究報告. 54. (1989)