1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480090
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
濱名 克己 鹿大, 農学部, 教授 (30011977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松元 光春 鹿児島大学, 農学部, 助手 (30157383)
望月 雅美 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90157834)
西尾 晃 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90133181)
河野 猪三郎 鹿児島大学, 農学部, 教授 (60041604)
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Keywords | 先天異常 / 子牛 / 水無脳症 / 小脳形成不全 / チュウザンウィルス |
Research Abstract |
1985年11月より1986年4月にかけて、九州各地に2,000例以上の新生子牛の異常が発生した。鹿児島県がもっとも多く、1,677例に達したが、鹿児島大学の研究グループは、県内各地から197例を入手し、それらの発生状況、臨床検査、病理学的検査を実施した。 品種別ではほとんどが黒毛和種であり、雄56%、雌44%を占め、性別に差はなかった。出生地は曽於郡139例(71%)が最多で、ついで隣接郡に多く、同じ県内でも発生は大隅半島に集中し、薩摩半島には少なかった。出生月別では11月下旬の1例に始まり、12月30例(15%)、1月122例(63%)、2月37例(19%)、3月7例(4%)となり、1月が最多であったが、とくに1月下旬に51例(26%)と集中した。4月にはほぼ終息した。 母牛の妊娠中や分娩時の異常は見られなかった。産次数は3産の30例(15%)を最高に初産から13産までの各産次に分布した。アカバネワクチンは62例(35%)が接種済みであった。出生時の臨床所見は一般に虚弱で起立不能であり、自力の吸乳も不能である。多くは数時間後に起立するが、自力吸乳はまったく不能で、いつまでも看護を要した。持続的な起立不能も見られ、後弓反張、遊泳運動、痙攣、眼球振盪などの神経症状も多く認められた。剖検ではほとんどの大脳が完全な水無脳症を示し、小脳はほとんどの例に軽度から重度の形成不全が認められた。家畜衛生試験場と協力してウィルス学的検査を実施した結果、本病はオルビウィルス属のチュウザンウイルスが原因であると決定された。 1986年4月から1987年3月にかけての県内の先天異常子牛の発生は少なく、本研究グループでは37例を収集したが、チュウザンウィルスによる異常の再発は皆無であった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 浜名克己: 家畜診療. 276. 19-29 (1986)
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[Publications] Hamana,Katsumi: 14th World Congress on Diseases of Cattle,Dublin,Proceedings. 1. 81-85 (1986)
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[Publications] 田浦保穂: 日本獣医師会雑誌. 39. 687-692 (1986)
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[Publications] 浜名克己: 鹿児島大学農学部学術報告. 37. 157-166 (1987)
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[Publications] 安田宣紘: 鹿児島大学農学部学術報告. 37. 115-124 (1987)
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[Publications] 西尾晃: 鹿児島大学農学部学術報告. 37. 129-136 (1987)
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[Publications] 伊沢久夫: "獣医学1986" 近代出版, 251 (1986)