1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480094
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
白井 敏雄 山形大学, 医学部, 教授 (20009096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 律子 山形大学, 医学部, 助手 (00161183)
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Keywords | 小脳皮質 / 神経結合 / 求心線維 / シナプス形成 / 組織培養 / 軸索標識 |
Research Abstract |
昭和62年度には,小脳に入る求心線維が小脳内の神経回路の形成にどのように作用するのかを解明する目的で,組み合わせ培養法を用いて以下の研究を行った.胎生16日目及び生後1日目のラット小脳片を単独に,或いは同時期の脊髄,延随,及び橋片と組み合わせて21日間炭酸ガス培養した,培養7日目までには,単独培養小脳片では小脳ニューロンに由来する神経突起が培養組織内を網状に走るようになる.組み合わせ培養を行った小脳片は他の培養片と神経突起による連絡を作るようになる.これら神経突起による連絡は21日目まで保持されていた.次いで,組み合わせ培養小集片内を走る神経突起の中で他の培養片内のニューロンに由来するものを神経突起の変性像,或いはHRP標識を用いて判別するために,21日目に培養片間を連絡する神経突起を切断したものと,他培養片内にHRPを注入したものとを作り,2〜3日後に培養小脳片を固定して,培養片内に形成されたシナプス構築を電子顕微鏡を用いて検索した.胎生16日目及び生後1日目の単独培養小脳片内に,軸索胞体型ならびに軸索樹状突起型シナプスが形成されていたが,これらはいづれも生体小脳皮質に認められるシナプス構築に類似していると同定することが困難であった.しかし,脊髄,延随及び橋と組み合わせ培養を行った小脳片内には生体小脳皮質に形成されるシナプス構築に類似したものが認められた.即ち,苔状線維と顆粒細胞樹状突起の間,登上線維とプルキンエ細胞樹状突起の間,そして平行線維とプルキンエ細胞樹状突起棘部の間のシナプス構築に相当するものが作られていた. このような結果から,シナプス構築を指標にしてみると,神経結合の形成に求心線維の関与することが明らかとなった.現在,シナプス構築の発現に前シナプスニューロンと後シナプスニューロンがどのように関与するかについて検索中である.
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[Publications] Toshio.SHIRAI: Neuroscience Res. SUPPL.3. S27 (1986)
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[Publications] Toshio.SHIRAI: Acta Anat.Nipp. 61. 418 (1986)
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[Publications] Toshio.SHIRAI: Neuroscience Res. SUPPL.5. S65 (1987)
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[Publications] 白井敏雄: Clinical Neuroscience. 5. 230-231 (1987)
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[Publications] Toshio.SHIRAI: Acta Anat.Nipp. 62. 518 (1987)
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[Publications] Toshio.SHIRAI: The proceeding of the 6th int.Singer Symposium. (1988)