1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480095
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川村 祥介 熊本大, 医学部, 教授 (00032889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 佐和子 熊本大学, 医学部, 助手 (60040169)
福島 奈津子 熊本大学, 医学部, 助手 (50040168)
肥後 成美 熊本大学, 医学部, 助手 (50165099)
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Keywords | 皮質17野 / ネコ / 線維結合 |
Research Abstract |
本研究の目的は哺乳動物数種の動物を用いて皮質下起始部の違いによって皮質への入力の様態(終止層とその拡がり)がどのように異なるかを解剖学的に解明することにある。特に本研究においてはそのモデルシステムとして視覚領皮質への入力機構の解明にあたる。本年度はネコを用いて以下の実験を行った。1.皮質17野へ投射する皮質下構造の同定。2.1において同定された構造からの17野での終止の様態の差、上記の観点からの分析により以下の結果を得た。皮質17野へ逆行性標識物質を注入することによって17野へ投射する皮質下構造を検索すると、終脳においては前障の他、Meynertの基底核、Brocaの対角帯核さらに中隔核にも標識細胞が認められた。また間脳では外側膝状体背側核,枕核外側端,後外側核さらに髄板内核群に、中脳では腹側被蓋野や縫線核の一部にも標識細胞が出現した。次いで、上記の皮質下起始部にそれぞれ順行性標識物質を注入し、皮質での拡がりと特に17野で終止層の違いを検索した。その結果(1)外側膝状体背側核からは層によって皮質の終止層が異なる。A,A1層からは17野の【VI】層と【IV】層中心部,C層の大細胞層からは【VI】層および【IV】層の表層と深層部、さらにC層の小細胞部からは皮質【V】,【III】層深部と【I】層に終止している。これらの終止は皮質での拡がりも異なり、【I】層の終止の拡がりは他の層のそれより広い。(2)後外側核からの17野での終止は外側膝状体背側核の大細胞C層からの投射と類似の終止様態を示し、【V】【I】層に終るが、それとは異なり【III】層への終止は存在しない。(3)髄板内核中脳起始部からの投射は【I】層に終るが特に中脳部からのものは層全体に広がっている。さらに前障からの終止は【II】層を除く全層に広がっている。このように17野への終止は起始部の違いにより投射の様相が違っていることが明かになったが、今後は他の皮質領域や動物種差に関しても検討を加えて行くつもりである。
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