1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480098
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Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野坂 昭一郎 三重大学, 医学部, 教授 (00025595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 〓 三重大学, 医学部, 講師 (90106972)
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Keywords | 迷走神経 / 心臓抑制中枢 / 変時作用 / 変力作用 / 疑核 / 背側運動核 / ペーシング / カイニン酸 |
Research Abstract |
迷走神経心臓枝の起始細胞(迷走神経心臓抑制性節前細胞)は疑核、背側(運動)核に分布し、一部はその中間帯に存在する。このうち疑核節前細胞の心臓抑制作用は確認されているものの他の二群の機能は確定されていない。昭和63年度研究計画では、本研究計画全体の総括として、迷走神経性心臓中枢の亜群間における機能局在の問題に検討を加えた。すなわち、ウレタンクロラロース麻酔ラットを用いて疑核群と背側運動核群がそれぞれ陰性変時作用および陰性変力作用をどの様な割合で分担しているかを明らかにした。1.人工呼吸下において開胸し、右心房左心室にカニューレを挿入、それぞれの内圧Pとその微分値dP/dtを測定し、後者を心房、心室の収縮力の示標とした。変時作用、変伝導作用の影響を除外して収縮力への効果を検討するために心房、心室の同時ペーシングを行なった。2.頚髓上部を離断したのち疑核を電気刺激したところ、著明な陰性変時作用がみられ、ペーシング下においては著明な心房dP/dtの減少をみとめた。しかし、心室dP/dtの変化は殆んどみられなかった。3.ついで疑核近傍にカイニン酸を微量注入し2時間後に背側運動核を電気刺激したところ、中等度の陰性変時作用がみられ、ペーシング下では中等度の心房dP/dtの減少をみとめた。しかし心室dP/dtは変化しなかった。4.迷走神経を切断し、その心臓端を電気刺激した場合でも、著明な陰性変時作用、心房dP/dtの減少はみられたが、心室dP/dtは変化しなかった。以上の結果は、ラットの迷走神経系は心室筋に対して陰性変力作用を及ぼさないこと、その心臓枝の起始核である疑核と背側核はどちらも陰性変時作用と心房筋への陰性変力作用をもっていて質的差異を示さないものの、両群間には量的差異が存在し、疑核群におけるこれらの心臓抑性作用が背側核群に比してより強力であることを示すものである。
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[Publications] Nosaka,S.: Ther.Res.8. 1547-1551 (1988)
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[Publications] Nosaka,S.: Pflugers Archiv:Eur.J.Physiol.
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[Publications] Nosaka,S.: Am.J.Physiol.
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[Publications] Nosaka,S.: Am.J.Physiol.
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[Publications] Nosaka,S.: Am.J.Physiol.
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[Publications] Nosaka,S.: Pflugers Archiv:Eur.J.Physiol.
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[Publications] Nakamura,K. Ed.: "Brain and Blood Pressure Control" Excepta Medica, 455 (1986)