1986 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系グリア細胞の機能的意義に関する研究←選択的細胞破壊による解析
Project/Area Number |
61480105
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 聖 金沢大, 医学部, 助教授 (10019614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 清 金沢大学, 医学部, 助手 (60019586)
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Keywords | 網膜 / グリア細胞 / α-アミノアジピン酸 |
Research Abstract |
〔目的〕 中枢神経系におけるグリア細胞の働きを探るため、神経網膜にα-アミノアジピン酸(α-AAA)を投与(グリア細胞を破壊し、各ニューロン活動を電気生理学的に記録し、未処置群と比較検討することにより、網膜内におけるニューロン・グリア連関解明の緒を開きたい。 〔結果〕 1.α-AAAによるグリア細胞破壊 L型,DL-型,D-型各α-AAAを8μmol眼球内に投与したところ、1〜2日をピークに種々のグリアマーカーの消失ないし減弱が認められた(グリアマーカーとして、生化学的にはグルタミンシンセターゼ活性の低下、電気生理学的には、ERG b-波の減弱消失,形態学的にはミューラー細胞の膨化等)。L型>DL型>D型の順に作用が弱くなった。 2.電気生理学的研究 ERG b-波は早期から消失するもa-波は正常であった。水平細胞の光応答電位はb波の消失時にも比較的良好に記録できた(投与1〜2日後)。神経節細胞の光応答スパイク活動は、D,DL型α-AAA投与により4〜7日間消失していたがその後速かに回復した。他方L型α-AAAの投与では、その回復は長期間(2カ月以上)に亘って観察できなかった。 3.生化学的実験 グリア細胞の破壊に伴ない出現し、その再生修復に伴ない再び消失する一過性の分子量30kDa,10kDaのタンパクがSDS-PAGE上見られた。現在このタンパクの単離精製を試みている。 〔考察〕 以上の実験結果から、DL型α-AAAが一過性にグリア細胞を選択的に破壊することが判明した。L型α-AAAはグリア毒のみならず神経毒としても作用することがわかった。
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Research Products
(2 results)