1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480108
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津本 忠治 大阪大学, 医学部, 教授 (50028619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城川 哲也 大阪大学, 医学部, 助手 (40187547)
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
|
Keywords | シナプスの可塑性 / 大脳皮質 / 視覚野 / カルスペクチン / 4.1蛋白質 / 細胞骨格蛋白質 / 生後発達 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.目的. シナプスの信号伝達機能が入力に応じて変化することが,近年の生理学的研究で示唆された. この伝達効率の変化に対応したシナプス形態の変化については,収縮蛋白質関与説があるものの実証的研究はほとんどなかった. 本研究はカルモデュリン結合膜裏打ち蛋白質がシナプスの可塑的形態変化に関与している可能性を検証するものである. 本年度は,大脳皮質視覚野における4.1様蛋白質の局在とそれが発達に伴う可塑性の消長と対応してどのように変るかを明らかにしようとした. 2.方法. ヒト赤血球の細胞膜画分より精製した4.1蛋白質を家兎に注射し,抗4.1蛋白質抗体を作成した. 次に,種々の日齢のラット脳を灌流固定し,上記抗体液にて反応後PAP法に従い処理しDAB法により発色させた. 3.結果. 大脳皮質視覚野における4.1様蛋白質陽性反応は出生直後,V層錐体細胞と思われる細胞に現れた. 以後,5日目には尖頭樹状突起,10日目頃には基底樹状突起が濃染した. II,III層では生後10日頃に陽性細胞が現れた. 生後24〜34日項にはII,III,V層の細胞の尖頭及び基底樹状突起に濃染したスパインが認められた. 成熟皮質においては,II,III,V層に淡染した陽性細胞がみられたが,スパインは全く認められなかった. 4.考察. ラット皮質視覚野ニューロンは片眼遮閉や光遮断によってその形態を変える可塑性をもっていることが知られているが,この可塑性は生後14〜30日頃に高く30〜45日でほぼ消失してしまう. 今年度の研究結果は皮質ニューロン,特にその樹状突起やスパインの4.1様蛋作質免疫活性が同じく生後14〜30日に最も高く成熟脳で劇的に低下することを示し,昨年度の研究結果と合わせて考えるとカルスペクチンや4.1様蛋白質等の膜裏打ち蛋白質のシナプス可塑性関与仮説を支持するものと考えられた.
|
Research Products
(2 results)