1986 Fiscal Year Annual Research Report
水浸法による実験的低重量下におけるヒトの交感神経活動のニューログラム解析
Project/Area Number |
61480113
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
間野 忠明 名大, 環境医学研究所, 教授 (30023659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 敏 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (90184879)
古賀 一男 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (30089099)
田村 好弘 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10023649)
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Keywords | 水浸 / 低重量 / 自律神経 / 交感神経 / ニューログラム / 循環動態 / カテコールアミン / ノルアドレナリン |
Research Abstract |
〔目的〕無重量環境下での人体の自律神経性反応と適応の機序を明らかにすることを本研究の目的とした。〔方法〕名古屋大学環境医学研究所設置の準無重量実験装置を用いて水浸法による実験的低重量下におけるヒトの交感神経活動を、循環動態の変化と共に観察した。健康人を対象として、立位で首の高さまでの水浸時における交感神経活動、循環動態の各種パラメータ(心拍数、心拍出量、一回拍出量、血圧、総末梢血管抵抗、下腿容積)及び血漿カテコールアミン濃度の変動を観察した。交感神経活動は脛骨神経からタングステン微小電極を用いたニューログラム法により抗重力筋(下腿三頭筋)支配の筋交感神経活動として記録した。心拍出量及び一回拍出量はインピーダンス・プレチスモグラム法により測定した。下腿容積はストレンゲージ・プレチスモグラム法またはインピーダンス・プレチスモグラム法により記録した。血漿カテコールアミン濃度は高速液体クロマトグラフィー法により測定した。〔結果〕立体で首の高さまで水浸すると、水位の上昇に応じて、下腿三頭筋支配の交感神経活動が顕著に抑制され、血漿ノルアドレナリン濃度が低下した。同時に、心拍数、総末梢血管抵抗、下腿容積が低下し、心拍出量と一回拍出量が増加したが、収縮期及び拡張期血圧はほぼ一定に保たれた水浸時時における筋交感神経活動の変化は、心拍数、総末梢血管抵抗、下腿容積との間に有意な正の相関を、心拍出量、一回拍出量との間に有意な負の相関を示した。〔結論〕以上の結果から、水浸時法による実験的低重量下では筋交感神経活動の顕著に抑制されることが明らかとなった。水浸時における筋交感神経活動の抑制は、主に静脈血量を反映する下腿容積の減少を伴ったため、おそらく体液、とくに静脈血の頭部方向への移動により引き起こされ、上半身における循環血液量の増加、心拍出量の増加などを代償して、循環動態の恒常性に関与すると思われる。
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[Publications] 間野忠明: 環研年報. 37. 30-33 (1986)
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[Publications] 間野忠明: 自律神経. 23. 248-253 (1986)
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[Publications] Saito,M.: Proceedings of 1986 lnternational Symposium on Biological Sciences in Space,MYU Research,Tokyo,. (1986)
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[Publications] 岩瀬敏: 環研年報. 38. (1987)
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[Publications] 斉藤満: 環研年報. 38. (1987)