1986 Fiscal Year Annual Research Report
末梢自律神経系の心筋及び冠血管支配様式と薬物感受性制御機構の解明
Project/Area Number |
61480115
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
後藤 勝年 筑大, 基礎医学系, 助教授 (30012660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 亜紀良 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40137708)
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Keywords | 非アドレナリン非コリン作動性神経 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP) / 神経ペプチド / カプサイシン / 心房筋 / 冠血管 / 陽性変時変力作用 |
Research Abstract |
心臓の機能は体液性と神経性の調節を受けている。神経性の調節としては交感神経(促進性)と副交感神経(抑制性)によるものが古くから知られている。これら末梢自律神経系の支配様式を摘出心房標本に於いて、我々が新しく開発した神経刺激方法を駆使して薬理学的に解析した。 交感、副交感神経の影響を(遮断薬等により)薬理学的に、又は外科的にほゞ完全に除去しておいても尚神経性の心機能促進反応、即ち非アドレナリン非コリン作動性(NANC)神経による反応が存在することを見出した。このような神経は心臓に於いては初めて認められたものである。この反応は、交感神経性の反応に比べてやゝ緩徐ではあるが持続的であることから、神経ペプチドを化学伝達物質とした神経によるものであろうと想像した。一方我々は豚脊髄の抽出物の生理活性試験も平行して行ってきており、心拍動数と収縮力を増加させるペプチド分画を見出した。それを単離精製し、構造決定したところ、甲状腺ホルモンであるカルシトニンの遺伝子解析からその存在が予言されていたカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)と同一ペプチドであることが判明した。免疫組織学的に心筋にはSubstance P.VIP、CGRP等のペプチド含有神経の走行が認められたが、陽性変時変力作用を示すのはCGRPのみであった。トウガラシの辛味成分であるカプサイシンで予め処置したモルモットの心筋からはCGRP神経のみが選択的に消失しており、同時に電気刺激によるNANC神経性の反応も選択的に消失していた。以上の結果より、我々は心臓に於けるNANC神経の伝達物質はCGRPであろうと結論した。 現在、冠血管に於けるCGRP神経の走行や摘出標本に対するCGRPの作用、カプサイシンの各種摘出標本に於ける作用の検討、さらに心臓各部位に於ける末梢神経系の支配様式の解析を進めている。脳血管や輸精管平滑筋に於けるCGRP神経の知見も得られつゝある。
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[Publications] Akira Saito: Journal of Parmacology and Experimental Therapeutics. 237. 713-719 (1986)
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[Publications] Akira Saito: American Journal of Physiology. 250. H693-H698 (1986)
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[Publications] Sadao Kimura: Neuropeptides. 9. 75-82 (1987)
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[Publications] Katsutoshi Goto: Journal of Pharmacoloqy and Experimental Therapeutics.
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[Publications] Katsutoshi Goto: Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics.
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[Publications] Takashi Miyauchi: Journal of Cardiovascular Pharmacology.