1986 Fiscal Year Annual Research Report
海洋由来強心性ポリペプチドのNaチャネルにおける作用点の解明
Project/Area Number |
61480117
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 元始 京大, 医学部, 教授 (90025536)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 正一 京都大学, ウィルス研究所, 教授 (30142300)
村松 郁延 福井医科大学, 医学部, 助教授 (10111965)
谷口 隆之 京都大学, 医学部, 助手 (10111957)
|
Keywords | 強心性ポリペブチド / ゴニオポーラトキシン / Naチャネル |
Research Abstract |
1.奄美大島においてハナガササンゴを採取し、強心性ポリペプチドgonioporatoxin(GPT)を分離、精製した。そして還元カルボキシメチル化しproteaseで分離した後、気相シークエンサーを用いてEdman法によりアミノ酸配列を決定した。GPTは、10ケのS-S結合を含む88ケのアミノ酸からなるポリペプチド(分子量9,700)でその構造は既知のNaチャネル作用毒とは全く異なっていた。 2.GPTのNaチャネルに対する作用を培養マウス神経芽細胞(clone N18cell)を用いて調べた。その結果、GPTはザリガニ巨大軸索の場合と同様、Naチャネルの不活性化過程を選択的に抑制することが明らかとなった。更にこの作用には膜電位依存性が認められ、膜をあらかじめ過分極する程GPTの作用は強く発現した。また、GPTが作用を発現するには外液Naイオンが必須で、外液NaイオンをK,Rb,Li,Csイオンに置換すると、GPTの作用は著しく減弱した。この結果は、GPTがNaチャネルに結合するには、Naイオンの存在が必要であることを示唆した。 3.N18cellを用いて、【^(125)I】ラベルしたサソリ毒の結合に対するGPTの追い出し実験を行なったところ、GPTはサソリ毒やイソギンチャク毒の結合部位(site3)とは異なった部位に結合することが明らかとなった。また、GPTの結合は外液Naイオンを除去すると著しく減少した。 4.GPTは心筋のNaイオン透過性を亢進して、二次的にNa-Ca交換系を活性化した結果、強心効果を惹起した。このNa-Ca交換系に対するムスカリン受容体の影響を調べたところ、Na-Ca交換系はCaチャネルやKチャネルと異なりムスカリン受容体刺激で全く影響されなかった。
|
-
[Publications] T.Gonoi: Molecular Pharmacology. 29. 347-354 (1986)
-
[Publications] M.Noda: Japan.J.Pharmacol.43. 61-65 (1987)
-
[Publications] M.NiShio: Japan.J.Pharmacol.40(Supp.). 198 (1986)
-
[Publications] K.Ashida: Japan.J.Pharmacol.43(Supp.). 187 (1987)
-
[Publications] 藤原元始: "非栄養素と生体機能第【IV】章§1循環器機能と海洋由来の活性物質" 光生館, 39-56 (1987)