1986 Fiscal Year Annual Research Report
ラット線条体,視床下部切片からのドーパ遊離機構とl-ドーパのドパミン遊離調節機構
Project/Area Number |
61480119
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
三須 良実 横浜市大, 医学部, 教授 (10025687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五嶋 良郎 横浜市立大学, 医学部, 助手 (00153750)
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Keywords | ドーパ / 神経伝達物質 / 線条体 / 【Ca^(2+)】依存性 / TTX感受性 / チロシン水酸化酵素 / シナプス前β-アドレナリン受容体 / シナプス前ドパミン受容体 |
Research Abstract |
ラット線条体切片(湿重量35mg)を用いた表面灌流系において、遊離した内在性ドーパ及びドパミン(DA)を、本年度設備備品予算により購入した高速液体クロマトグラフィー及び電気化学的検出器を用い分離定量した。本年度は主として、ドーパ遊離の性格をDAと比較検討し、以下の知見を得た。(1)【Ca^(2+)】依存性、TTX感受性ドーパ遊離:(1)二相性電場(2【H_2】,2msec,25V,3min)及びKcl(15mM,5mim)刺激は、ドーパ及びDA遊離を誘発した。(2)両者の遊離量は、両刺激間でほぼ一致し、各々0.3及び6.0pmal/3minであった。同パラメーターは、外液【Ca^(2+)】除去により、いずれも著減した。(3)電場刺激による遊離は、TTX0.3μM添加によって、いずれも著減した。(4)ドーパ及びDAの誘発性遊離は、0.5〜2【H_2】及びKcl10〜15mMにおいて頻度及び濃度依存性を示した。DA遊離は、より高い頻度及び濃度においてさらに増大したが、ドーパ遊離はむしろ減少した。(2)ドーパ、DA遊離とチロシン水酸化酵素(TH)活性との相関性:同切片を3.5【^3H】-チロシン50μCi/ml存在下に表面灌流し、灌流上清中の【^3H】-【H_2】O量を、切片におけるTH活性と評価し得た。この系において(1)15mM及び60mMKcl、5分間刺激は、ドーパ及びDA遊離を誘発した。(2)Kcl刺激は、TH活性を、ドーパ及びDA遊離の誘発時に抑制し、刺激後、両遊離が静止レベルに復帰した時点より亢進した。この抑制一亢進の二相性変化は、15mMkclに比し、60mMにおいてより著明であった。これらの結果は、脱分極刺激によるドーパ遊離に関わる可能な【Ca^(2+)】依存性機序として、興奮分泌連関における作用が存在する可能性を示している。(3)外来L-ドーパの薬理作用:L-ドーパは線条体及び視床下部切片からのアミン遊離を、シナプス前β-受容体及びDA受容体を介し、二相性に修飾すること、線条体におけるL-ドーパの第一義的作用は、シナプス前β-受容体を介するDA遊離促進であることなどの新知見を得つつあり、その一部を、既に発表した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Goshima,Y.;Kubo,T.;Misu,Y.: British Journal of pharmacology. 89. 229-234 (1986)
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[Publications] Misu,Y.;Goshima,Y.;Kubo,T.: Neuroscience Letters. 72. 194-198 (1986)
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[Publications] Goshima,Y.;Kubo,T.;Misu,Y.: Japan J.Pharmacol.43. 114 (1987)