1986 Fiscal Year Annual Research Report
ラット初代培養肝細胞におけるPGおよびPAFの代謝とその医化学的意義
Project/Area Number |
61480125
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
斎藤 国彦 関西医大, 医学部, 教授 (80077560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 玲子 関西医大, 医学部, 助手 (60172483)
里内 清 関西医大, 医学部, 講師 (50098125)
奥村 忠芳 関西医大, 医学部, 助教授 (80113140)
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Keywords | プロスタグランジンの代謝 / ラット肝細胞 / 初代培養 |
Research Abstract |
1.研究の背景-初代培養ラット肝細胞は外来性のプロスタグランジンと接した時【E_1】、【E_2】、【D_2】、【F_2】αなどの活性型と6-ケト【F_1】αや【TXB_2】などの不活性な代謝産物を識別する能力があり、前者は速やかに代謝されるが、後者は殆ど代謝されない(J.Biochem,96,42(1984))。活性型の【E_1】、【E_2】の主な代謝産物はいづれもダイノル【E_1】およびテトラノル【E_1】であることを質量分折法により明らかにした(Biochim.Biophys.Acta,837,197(1985))。 2.実験結果-さらに今回、【D_2】、【F_2】αの代謝経路を同様の方法にて研究したが【CD_2】からはダイノル【D_1】とテトラノル【D_1】が同定され、一方【F_2】αからも主な代謝物としてダイノル【F_1】α、テトラノル【F_1】αが同定されたが、さらにその他にω位の酸化された1,20-ジカルボン酸誘導体もまた見出された。(Biochim.Biophys.Acta,879,330(1986))。 3.新しい代謝系とその意義-以上のことから、ラット初代培養肝細胞におけるプロスタグランジン、特に活性のある【E_1】、【E_2】、【D_2】、【F_2】αの代謝は、従来一般に認められているC-15位の酸化反応に始まる一連の反応とは異なり、肝細胞表面において直にβ酸化を2回うけ、遊離したアセチール基は肝細胞内の脂質にとりこまれ、一方残ったダイノル体およびテトラノル基は肝細胞外へ遊離排泄されることが明らかになった。なお、この際、【E_2】、【D_2】、【F_2】αの2重結合の中、C-15位がまづ還元されて、β酸化をうけると思われる。この新しい代謝系の生化学的、医化学的意義については、目下不明であるが、次の様な可能性が考えられる。【(i)】プロスタグランジンの不活性化、【(ii)】ダイノル、テトラノル体を異物として細胞へ排泄する、【(iii)】これら細胞外へ排泄された代謝物が、静脈系を介して肺に達し、あるいは胆管系を介して腸管に達し、何か新しい特異な生物学的語源を示す。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tomoko Sago: Biochim.Biophys.Acta. 879. 330-338 (1986)
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[Publications] Tadayoshi Okumura: Biochem.Int.14. 443-449 (1987)
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[Publications] Katsuhiko Yasuda: Biochem.Biophys.Res.Commun.138. 1231-1236 (1983)
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[Publications] Makoto Oda: J.Biochem.100. 1117-1123 (1986)
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[Publications] Kunihiko Saito: Adv.Mass Spectrometry 1985,Part B. 1507-1508 (1986)
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[Publications] Kunihiko Saito: 23rd International Symposium,Advances in Chromatography,abstracts. 37-38 (1986)
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[Publications] Kunihiko Saito: "GC/MS of molecular species of glycerophospoliPids in"Chromatography of Lipids in Biomedical Research"ed.A.Kuksis" Elsevier Science Publishers, (1987)