1986 Fiscal Year Annual Research Report
新しい腎病変モデルとモノクローナル抗体によるヒト腎障害惹起抗原に関する検策
Project/Area Number |
61480136
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
清水 不二雄 新大, 医学部, 教授 (40012728)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康仁 新潟大学, 医学部, 助手 (40179263)
追手 巍 新潟大学, 医学部, 助教授 (60018744)
|
Keywords | 溶連菌由来塩基性抗原 / モノクローナル抗体 / EHS肉腫 / Fx1A抗原 / EHS腎症 / Heymann腎炎 / 蛋白尿 |
Research Abstract |
1.溶連菌由来抗原に関する検索:溶連菌由来塩基性抗原(西ドイツ,フライブルグ大Vogt教授より送付)に対するモノクローナル抗体(MoAb)は順調に作製された。ELISAによるスクリーニングで3種類の陽性クローンが確立された。このMoAbによるヒト急性糸球体腎炎患者生検腎における塩基性抗原の証明は未だ試みられていない。2腎炎惹起内因性抗原に関する検索:EHS肉腫とFx1Aの免疫によるactive型病変は惹起し得たが、糸球体基底膜抗原のactive型,EHSのpassive型には成功していない。ラットにEHS肉腫に対するウサギ抗血清を如何に大量、繰り返し静注しても、前もってウサギIgGによる免疫操作を加えても(加速型)腎障害は起こらず、病因抗原の検索手段にはなり得なかった。EHSとFx1Aによるこれら自己免疫性膜性腎病変惹起ラットから自己反応性MoAb産生クローンを確立する試みは一部成功しており、近位尿細管刷子縁抗原や糸球体上皮細胞表面抗原に対するMoAbが得られているがこれらと病因との関連については未詳である。また通常のラット腎組織に対するマウスMoAb作製の試みも併せて続行中であり、抗原の酵素処理や、百日咳菌を加味した精力的な免疫等、免疫原と免疫方法の工夫により、従来得られ難かった糸球体内局在抗原を認識するMoAbをはじめ、多種類のMoAbが作製出来た。現在、代表的なMoAbの大量精製中である。更にそのうちの1つを予備的検索としてラットに1回静注したところ、有意の蛋白尿を惹起し得た。著明な形態学的変化は認められていない。この蛋白尿の経過,免疫組織学的所見については現在投稿準備中である。少なくとも蛋白尿発現機序解明の有効な手段となるものと期待される。このMoAbの対応抗原をはじめとする上記腎炎惹起抗原の同定と、これら抗原に対する宿主免疫反応の解析とが、来年度の主要な検索事項となる。
|
-
[Publications] Kimura,Satoshi: Clinical and Experimental Immunology. 64. 28-33 (1986)
-
[Publications] 清水不二雄: Mebio. 3(12). 22-26 (1986)
-
[Publications] 清水不二雄: Modern Urinalysis. 3. 22-28 (1987)
-
[Publications] Kawachi,Hiroshi: Nephron.
-
[Publications] 清水不二雄: Medical Practice. 4(4). (1987)
-
[Publications] Shimizu,Fujio: Cellular molecular and genetic approaches to immunodiagnosis and immunotherapy.(edit by K.Kano)University of Tokyo Press. 277-282 (1987)
-
[Publications] Nakamura,Takamichi: Virchows Archiv A Pathological Anatomy and Histopathology.
-
[Publications] 清水不二雄著,本田西男,小磯謙吉 編著: "臨床腎臓病学(糸球体腎炎の病因ー免疫学的発症・進展機序)" 朝倉書店, (1987)
-
[Publications] 清水不二雄著,越川昭三,長沢俊彦,小磯謙吉,伊藤拓 編著: "Annual Review 腎臓 1988(腎とモノクローナル抗体)" 中外医学社, (1988)
-
[Publications] 清水不二雄著,竹内正七 編: "産婦人科MOOK;産婦人科医のための免疫学入門(免疫学的手法の組織学的応用)" 金原出版, (1987)