1986 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ球菌の毒素及びロイコシジンの分子構造と標的細胞膜の機能障害作用
Project/Area Number |
61480143
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 巌 千葉大, 医学部, 教授 (40012702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畝本 力 千葉大学, 生物活性研究所, 教授 (30089601)
盛永 直子 千葉大学, 医学部, 助手 (20092108)
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Keywords | ブドウ球菌 / α毒素 / ロイコシジンS及びF成分 / メチルトランスフェラーゼ / ホスホリパーゼ【A_2】 / アラキドン酸カスケード / 【Ca^(2+)】チャンネル / 【K^+】チャンネル |
Research Abstract |
1.黄色ブドウ球菌Wood46株及びV8株を10l単位の大量培養・イオン交換樹脂と高速液体クロマト法によって、ブドウ球菌α毒素及びロイコシジンSとF成分をえた。 2.ブドウ球菌α毒素はウサギ赤血球膜に吸着すると、直ちに膜メチルトランスフェラーゼ活性を、その基質S-アデノシル(【^3H】・メチル)メチオニンの【^3H】・メチル基の転移によるホスファチジルコリン(PC)合成測定によって約40%を抑えた。このメチルトランスフェラーゼ活性は3・デアザアデノシン(3DZA)によって強く抑えられ、α毒素の溶血活性を2倍促進した。次いでα毒素はウサギ赤血球膜ホスホリパーゼ【A_2】活性を正常の3倍増進させて、膜リン脂質の切断によるアラキドン酸やリゾレシシンが遊離してきた。α毒素は膜ホスホリパーゼC活性やホスファチジルイノシトール代謝には影響がなかった。α毒素処理赤血球にその抗体を与えると中和されて、これらのα毒素作用は起こらなかった。 3.ブドウ球菌ロイコシジンSとF成分を一諸にヒト白血病HL60細胞液に加えると膜メチルトランスフェラーゼ活性を直ちに4倍亢進し、次いで膜ホスホリパーゼ【A_2】活性も数倍亢進した。その結果、アラキドン酸の遊離とプロスタグランジン合成がみられた。このとき、【^(45)Ca】を与えるとCa・チャネルをα毒素は活性化して細胞内への取り込みを盛んにした。その結果、膜【K^+】チャンネルを開放して、細胞内【K^+】の細胞外放出によって、HL-60細胞膜の透過性異常によってロイコシジンの膜障害を引き起こすことが明かになった。1mMCa【CI_2】をHL-60細胞液に加えると、ロイコシジンSおよびF成分の膜障害作用は阻止されることを見つけた。この理由は目下検討している。ロイコシジンS及びF成分の抗体による中和反応をSLT・イージーリーダーを用いて迅速に正確な解析をした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 加藤巌: 蛋白質・核酸・酵素(共立出版). 31. 14-25 (1986)
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[Publications] 加藤巌: レセプターの化学. 110. 239-250 (1987)
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[Publications] Morinaga Naoko: FEMS Letters. (1987)
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[Publications] Kato Iwao: Infection and Immunity. (1987)