1986 Fiscal Year Annual Research Report
免疫応答系における遺伝子の発現とその調節の分子機構
Project/Area Number |
61480158
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 維紹 阪大, 国立大学(その他), 教授 (50133616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 源 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (80174712)
藤田 尚志 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (10156870)
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Keywords | インターロイキン2 / 受容体 / 成人T細胞白血病 / 転写制御 / リンフォカイン / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
免疫応答系においては調節された、遺伝子の情報発現が全体の統御に重要な役割を果している。従ってこのような遺伝情報発現の調節機構の分子レベルでの解明はひいては免疫応答系の調節機構の解明にもつながる重要課題であることを考え、この観点に立って研究を行って来た。まずリンフォカインのなかでも特に研究が進んでいるインターロイキン2(IL-2)システムをとりあげIL-2及びその受容体(IL-2R)遺伝子の転写開始上流領域の同定を行うと共にその構造を明らかにした。その結果IL-2R遺伝子には5ケ所の転写開始上流領域が存在することが明らかとなった。次にIL-2及びIL-2R遺伝子が、活性化T細胞において特異的に発現されるために必要な転写の制御領域を同定することにも成功した。更に、IL-2システムの異常作動が成人T細胞白血病(ATL)の発症に密接に関わっていることが知られていたので、実際この白血病の原因ウィルスであるHTLV-1とIL-2システムの関係について研究を行った。その結果、HTLV-1の産物であるp【40^x】がIL-2及びIL-2Rの遺伝子の転写を活性化させることが明らかとなった。更に、IL-2に関してはp【40^x】の発現とT細胞の抗原による活性化シグナルによって相乗的に遺伝子の転写活性化が起きることを見出した。これら一連の結果は、HTLV-1ウィルスの感染と抗原刺激のシグナルとが、脱制御されたIL-2オートクリンシステムの活性化につながり、T細胞の悪性増殖化に深く関っているものと考えられる。更に我々はIL-2の生体内機能をより詳細に解析する目的で、IL-2を生産するレトロウィルスを作製することにも成功した。今後従って様々な生体内及び生体外での感染実験を行い、IL-2の機能を更に調べて行くことが可能と考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] aT.Taniguchi;H.Matsui;T.Fujita;M.Hatakeyama;N.Kashima;A.Fuse;J.Hamuro;C.Nishi-Takaoka;G.Yamad: Immunological Review. 92. 121-133 (1986)
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[Publications] T.Fujita;H.Shibuya;T.Ohashi;K.Yamanishi;T.Taniguchi: Cell. 46. 401-407 (1986)
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[Publications] G.Yamada;T.TaniguchiM.Feldmann & A.McMichael eds.K.Hasegawa;M.Maruyama;T.Fujita;T.Ohashi;M.Hatakeyama;S.Minamoto;: Regulation of Immune Gene Expression The Humana Press Inc.85-93 (1986)
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[Publications] M.Hatakeyama;S.Minamoto;T.Taniguchi: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 83. 9650-9654 (1986)
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[Publications] M.Maruyama;H.Shibuya;H.Harada;M.Hatakeyama;M.Seiki;T.Fujita;J-I.Inoue;M.Yoshida;T.Taniguchi: Cell. 48. 343-350 (1987)
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[Publications] T.Fujita;H.Shibuya;H.Hotta,K;Yamanishi;T.taniguchi: Cell.