Research Abstract |
昨年報告した循環器疾患(第8回修正の国際疾病分類基本分類の393ー438)死亡者のうち, 死亡時年齢50〜69の1311例を対象とし, これら死亡群に対し, 当研究所の被爆者ファイルより, 広島市発行の被爆者健康手帳を所有しており, 昭和53年1月1日現在生存が確認され, その後, 昭和57年12月31日までに循環器疾患では死亡していない被爆者について, 死亡例と性・出生年・月を対応させた約27,000例を抽出した. これらのうちより, 対応させたグループ毎に一定数の候補者を無作為抽出し, 広島原対協に保管されている被爆者健康診断カルテと照合し, カルテの存在する者1,311例を対照とした. 対照群についてのカルテ上の検診記録49,401件について, 死亡例と同様に, 基本項目7項目, 問診項目, 検査項目など170項目の電算化のための符号化を行い入力した. 男は655対, 女は646対であった. 死亡群の死因簡単分類による死因をみると, 「脳血管疾患(ICD430ー438)」が最も多く56%, 次いで「虚血性心疾患(ICD 410ー414)」の22%であった. 死亡群における死亡までの健康診断受診回数は平均11.9回であり, 対照例では, 対応する死亡例の死亡までの平均受診回数は12.0回であり両者に差が認められなかった. 検査項目別の受診状況では, 一般検査項目は対照群に対く, 精密検診項目は, 死亡群に多く受診されている傾向が認められた. 以上, 対照群の抽出, 人手によるカルテとの照合, カルテ情報の電算化処理が終了した. 次年度は, 死亡群・対照群の個別対応法により解析を行う. なお, 個別対応研究に対する統計学的な方法論の具体化も同時に行っている.
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