1986 Fiscal Year Annual Research Report
人悪性腫瘍紐織より産生される新しい生物活性物質群に関する研究
Project/Area Number |
61480182
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
松崎 宸 埼玉医大, 医学部, 教授 (80010396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮沢 一彦 埼玉医科大学, 総合医療センター第一内科, 助手
近藤 行男 埼玉医科大学, 総合医寮センター第一内科, 講師 (70143435)
今井 康雄 埼玉医科大学, 総合医療センター第一内科, 助教授 (30125992)
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Keywords | 人悪性黒色腫細胞株 / Transforming growth factor / インスリン様活性 / リポ蛋白リパーゼ活性阻害物質 / カヘキシー |
Research Abstract |
人悪性黒色腫の細胞株(SeKi株)をヌードマウスに移植すると、宿主ヌードマウスには著名な体重減少、カヘキシーをきたすことを我々は観察している。この現象は腫瘍から産生される生理活性物質によるものと推測される。種々の検討の結果、我々は本細胞株の培養液中にEpidermal grouth factor(EGF)様物質Transforming grouth factor-αの存在及びインスリン様活性物質、更にリポ蛋白リパーゼ活性阻害物質の存在を明きらかにした。本細胞株培養液中の活性物質をEGF様活性を指標としてreceptor assay にて精製をすすめ、ゲル濾過,等電点分画,高速液体クラマトグラフィーにて精製を行った。小分子(分子量6,000、等電点pI 6.3)の部分は精製を終了し、種々の性質からこのEGF様活性はTGF-αであることを明きらかにした。この精製したTGF-αを坑原として坑体を作成し測定系を開発中である。大分子企画(分子量30,000、pI 3.5)は担癌患者尿中にも同様の性質のものが見出だされており、腫瘍マーカーとしての有用性が示唆され更に精製を進めている。本細胞株培養液中のインスリン様活性はMoody,A.J.らの方法により測定したところ明きらかな活性をみとめた。その容量反応曲線より活性物質は複数存在することが示唆された。このインスリン様活性は分子量3,000以上及び分子量500〜3,000の二種にわかれ、ゲル濾過により更に精製を進めている。これらのインスリン様活性の性質はインスリン,IGF-1,TGF-αとは明きらかに異っている。TGF-αと共存するTGF-βによる可能性もあり検討中である。リポ蛋白リパーゼ活性阻害物質は比較的大分子の分画に存在しており、更に精製を進めている。これらの複合した因子がin vivoでの作用を発現していると考えられ、in vivoにおける各因子の動態を追求し、癌病態の解明に役立てたい。
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