1986 Fiscal Year Annual Research Report
劇症肝炎患者血漿中の肝再生因子の精製とその生理的意義に関する研究
Project/Area Number |
61480190
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋本 修治 鹿大, 医学部, 教授 (30041271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 宏幸 鹿児島大学, 歯学部, 助手 (00172479)
坪内 博仁 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (60145480)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / 劇症肝炎 / 肝再生 / 成熟ラット初代培養肝細胞 / DNA合成 |
Research Abstract |
申請者らは本年度の研究実施計画に基づいて研究を行ない、以下の様な成果を得た。 (1)成熟ラット初代培養肝細胞を用いて、20例の劇症肝炎患者血清または血漿のDNA合成促進活性を測定すると、1例を除いた全例で正常者の数倍〜数十倍のDNA合成活性の増加が認められた。DNA合成活性は患者の昏睡度と関連性がみられ、昏睡度の進行とともに著明な上昇が認められた。 (2)DNA合成促進活性の高い症例の血漿交換療法時に得られた血漿から、肝細胞増殖因子(human Hepatocyte Groth Factor:h.HGF)の完全精製に成功した。患者血漿を加熱(56℃,15分)、遠心した後その上清を硫安分画(1.15-2.05M)し、さらにアフィゲルブルー、ペパリン-セファロース及びヒドロキシアパタイトの各クロマトグラフィーによってhHGFを約21万倍に精製することができた。収率は約20%で、1lの血漿から約40μgのhHGFが得られた。 (3)精製標品はSDS-PAGE(非還元)で分子量約8万前後に数本のバンド(銀染色)を示したが、未染色のゲルから溶出して活性を測定すると、いずれのバンドも染色度に応じた肝細胞増殖活性を有しており、これら数本のバンドはいずれもhHGFの多様な分子型を示していると思われる。溶出された数本のバンドは、還元後のSDS-PAGEでいずれも分子量約6万と3万前後の二種のバンドに分かれたことから、これらがS-S結合で結合してhHGFを形成しているものと考えられる。 (4)精製hHGFは1ng/mlの低濃度でDNA合成促進活性が認められ、7ng/mlで最大活性を示した。この最大活性値はmEGFやインスリンによるそれよりも高い値を示した。またhHGFは最適濃度のmEGFやインスリンと相加的または相乗的に作用した。
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[Publications] Eiichi Gohda: Exp.Cell Res.166. 139-150 (1986)
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[Publications] Eiichi Gohda: J.Clin.Invest.
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[Publications] 橋本修治: 病態生理.