1986 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血時とそれからの回復過程における心室不整脈の発生機序と治療に関する研究
Project/Area Number |
61480206
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
外山 淳治 名大, 環境医学研究所, 教授 (20023658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 直哉 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (20183486)
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (30124720)
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Keywords | 心筋虚血 / 再灌流不整脈 / 単一心筋細胞 / サルコメア縞 / 画像処理 / 好気的代謝阻害 / triggered activity / 細胞内【Ca^(2+)】overload |
Research Abstract |
1.単一心筋細胞のサルコメアレベルにおける収縮動態解析のための画像処理システム及びソフトウェアの開発。単一心筋細胞の顕微鏡画像をTVカメラを通してビデオテープに記録した。その再生画像から画像データ収録装置を用いて任意の時点における画録を選択し、高速A/D変換した。次いで心筋細胞のサルコメア縞を抽出するためマイクロコンピュータで平滑化、端強調及び二値化処理を行った後、テンプレートマッチング法によりサルコメア縞を認識し、サルコメア長を計測した。以上の操作を画像データ収録装置の設定値を更新しながらくり返すことにより、1/60Secで進行する画像を連続的に処理した。このシステムを用いることにより、膜電位記録と同時点におけるサルコメア長変化を測定することが可能となった。2.モルモット単一心室筋細胞の好気的代謝阻害からの回復過程における膜電位及びサルコメアの動きの同時解析。タンパク分解酵素で処理して得たモルモット単一心室筋細胞を用いて、5mMC【N^-】で細胞の好気的代謝を阻害し、その回復過程における膜電位変化とサルコメアの動きを同時に観察した。好気的代謝阻害からの回復過程において、自発的かつ周期的なサルコメアの短縮が細胞の一部分から起こり細胞内を伝播した。膜電位変化では、この自発的なサルコメア短縮に一致した数mVの脱分極が静止膜電位レベルにおいて認められた。電気刺激で活動電位を発生させると、サルコメアの短縮は、ほぼ細胞全体で同期し、それとともに脱分極の振幅も増大し、しばしばtriggered activityを生じた。以上の結果から単一心室筋細胞の好気的代謝阻害からの回復過程で出現する膜電位の一過性脱分極は、自発的かつ周期的な細胞質【Ca^(2+)】濃度の変動に基づく現象であり、この膜電位の一過性脱分極から生ずるtriggered activityが虚血からの回復過程において出現する不整脈の発生の重要な要因の一つであることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 佐藤俊雄: 環境医学研究所年報. 37. 251-254 (1986)
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[Publications] Toshio Sato: Environmental Medicine. 30. 77-82 (1986)
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[Publications] Toshifumi Watanabe: Environmental Medicine. 30. 97-103 (1986)
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[Publications] Haruo Honjo: J.Mol.Cell Cardiol.19Suppl.I. S35 (1987)
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[Publications] Toshio Sato: IEEE.
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[Publications] Toshio Sato: 医用電子と生体工学. 24特別号. 134 (1986)