1986 Fiscal Year Annual Research Report
攻撃モデルを用いた大脳辺縁系におけるドーパミン・ゲイティングメカニズムの研究
Project/Area Number |
61480242
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
前田 久雄 佐賀医大, 医学部, 助教授 (60089919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 正興 佐賀女子短期大学, 幼児教育学科, 教授
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Keywords | 視床下部腹内側核 / 怒り / 中脳中心灰白質 / 情動回路 / 出力路 / セルレイン / 脳室内投与 |
Research Abstract |
1.ネコの視床下部腹内側核(VMH)に電気刺激用電極を慢性的に植えこみ、無麻酔無拘束下、電気刺激によって生じる防御攻撃反応の閾値に対するコレシストキニン(CCK)様ペプタイドであるセルレインの効果をみた。閾値は、実験者がネコを挑発した状況下と、ネコの視野に何も脅威となるものが存在しない状況下の2条件下で測定した。セルレインは脳血液関門を通過しにくいため、0.1μg/5μl,1.0μg/5μl,10μg/25μlを側脳室内に投与した。閾値が変化した例では、セルレイン投与の15分前にハロペリドール0.5mg/kgを腹腔内投与し、その影響をみた。その結果、セルレインは、用量依存的に上記防御攻撃反応の閾値を低下させることがわかった。しかも、上記2条件下の閾値が共に平行して低下した。ハロペリドールは、このようなセルレインの効果の発現を予防した。このことは、セルレインが、ドーパミン作働薬とほぼ同じ効果を持っており、ドーパミン拮抗薬であるハロペリドールと拮抗的に作用することを示唆している。一部で期待されているCCKの抗分裂病作用は考えにくい。今後さらに例数を増やす予定である。 2.上と同じ条件下での視床下部性防御攻撃反応の閾値に対する中脳中心灰白質(PAG)吻側半分の破壊の効果を調べた。その結果、視床下部の刺激側と同側の破壊は、挑発時、非挑発時双方の閾値を著明に上昇させるが、反対側の破壊は変化をもたらさないことがわかった。このことは、PAG吻側部分が、VMH刺激による防御攻撃反応の出力路を形成していることを示している。さらに、VMHからPAGへの神経出力は同側一側性であり、VMHとPAGの左右の機能系は相互に独立していることも示唆された。 3.無麻酔、無拘束ネコの扁桃核から、細胞外単一神経活動を記録し、情動行動との対応をみる実験系は、まだ調整中であり、報告できるような結果を得るに至っていない。
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Research Products
(2 results)