1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480247
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
折茂 肇 東大, 医学部, 助教授 (00143438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 哲郎 東京大学, 医学部老年病学教室, 助手 (30172414)
井藤 英喜 東京都老人医療センター, 内分泌科医長
寺下 謙三 東京大学, 医学部老年病学教室, 助手 (00163915)
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Keywords | 培養血管平滑筋細胞 / 細胞質カルシウム / DNA合成 / 成長因子 / カルシウム拮抗薬 |
Research Abstract |
1目的・方法、血管平滑筋細胞の増殖と細胞内【Ca^(2+)】動態に対する成長因子と【Ca^(2+)】拮抗薬の作用を検討した。実験はラット大動脈中膜由来の培養平滑筋細胞(SMC)を用い、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、ソマトメジン-C(Sm-C)の細胞内【Ca^(+1)】に対する影響をクイン2を用いる細胞質【Ca^(+1)】濃度測定を用いて、またSMCの増殖に対する影響を【^3H】-チミジンの細胞への取り込みを指標として検討した。【Ca^(+1)】拮抗薬の影響も検討した。 2結果(1)EGF、PDGFは用量依存的にSMCの細胞内【Ca^(+1)】濃度を一過性に増加させた。培養液中の【Ca^(+1)】を除くと、この細胞質の【Ca^(2+)】濃度の増加は完全に抑制され、細胞外【Ca^(2+)】に依存していた。これに対し、Sm-CはSMCの細胞質【Ca^(+1)】に影響を与えなかった。(2)EGF、PDGF、Sm-Cは三者共、【^3H】-チミジンのSMCへの取り込みを用量依存的に増加させ、SMCのDNA合成を促進する作用を持つことが示された。(3)【Ca^(+1)】拮抗剤であるニフェジピン(3×【10^(-6)】M)を同時に投与すると、EGF、PDGFにより惹起これた細胞内【Ca^(+1)】濃度の増加はほぼ完全に抑制された。Sm-Cは、EGF、POGFと異なり細胞質【Ca^(+1)】濃度に影響しなかったが、ニフェジピン投与によっても何ら影響を受けなかった。またニフェジピンは、EGFにより惹起された【^3H】-チミジン取り込みの増加を有意に抑制した。PDGFの場合でも抑制傾向が認められた。しかしSm-Cによる【^3H】-チミジン取り込みの増加には影響を与えなかった。EGF投与による細胞内【Ca^(+1)】濃度の増加、DNA合成促進に対するニフェジピンと同様の効果は、ベラパミル等他の【Ca^(+1)】拮抗薬にも認められた。 3考察:PDGF、EGFによるSMCの増殖機構には細胞質の【Ca^(+1)】-【Ca^(+1)】受容蛋白系が関与しており、この増殖機構を抑制することが【Ca^(+1)】拮抗薬の抗動脈硬化作用機序の一つであると考えられた。これに対し、Sm-Cは細胞質【Ca^(+1)】を介さない増殖機構をもつと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 広角治郎,渡辺正江,楠淳,折茂肇: Ther.Res.5. 1089-1092 (1986)
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[Publications] 広角治郎,渡辺正江,折茂肇: 薬理と治療. 14. 1153-1158 (1986)
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[Publications] Jiro Hirosumi;Masae.Watanabe;Joji.Doshima;Kenzo Terashita;Tetsuro Nakamura;Hajime Orimo: Arteriosclerosis.