1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG-CSF)に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
61480256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 茂隆 東大, 医科学研究所, 助教授 (50134614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白藤 尚毅 東京大学, 医科学研究所, 教務職員
家城 隆次 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (60168086)
幸道 秀樹 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80161876)
長田 重一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70114428)
三輪 史朗 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40034954)
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Keywords | 顆粒球コロニー刺激因子 / 多能性造血幹細胞 / 好中球 / 重症感染症 / 骨髄移植 |
Research Abstract |
1 hG-CSFの生物学的活性:in vitroコロニー形成法では7日目の好中球コロニー形成を最も強く刺激するが、血清存在下では別に21〜28日目の混合コロニー形成にも働く。また、マウスに連日皮下注すると急速かつ漸増する好中球増加を惹起するが、同時に多能性幹細胞とすべての血球系前駆細胞の増加をも誘導する。これらの事実より、hG-CSFは直接好中球生成に働くのみならず、血清などを介して間接的に多能性幹細胞レベルの増殖分化をも刺激することが示唆された。 2 hG-CSFの作用機序:ヒト正常骨髄単核細胞,成熟好中球および骨髄性白血病株細胞は特異的にhG-CSFを結合した。その結合定数,結合部位数には3種類の細胞間で大きな差異は認めず、またクロスリンカーを用いたhG-CSF-受容体複合体の電気泳動による分析からいずれの細胞の受容体も分子量およそ50,000であることが判明した。 3 ヒト血清中のhG-CSFの測定:拡hG-CSFと標識hG-CSFを用いたRIA測定法を開発したが、血清中のhG-CSFの濃度を本法を用いて測定することは困難であった。血清中にはhG-CSFと容易に結合するタンパクが存在し、それが測定を阻害する可能性が示唆された。 4 hG-CSFの治療薬として有用性:エンドキサン投与で骨髄抑制を来したマウスに緑膿菌を投与すると全例感染死するが、エンドキサン投与後にG-CSFを連日皮下注することによりその殆んどが感染死を免がれることが明らかとなった。また、放射線照射マウスの骨髄移植実験で、hG-CSFの連日投与が多能性造血幹細胞の生着と増殖を促進することが明らかにされた。これらの事実より、hG-CSFは好中球減少を伴う重症感染症の予防・治療に極めて有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 浅野茂隆,白藤尚毅: 検査と技術. 14. 479-483 (1986)
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[Publications] 浅野茂隆: 実験医学. 4. 908-911 (1986)
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[Publications] H.Nomura;I.Imazeki;M.Oheda;N.Kubota;M.Tamura;M.Ono;Y.Ueyama;S.ASano: The EMBO J. 5. 871-876 (1986)
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[Publications] ;M.OnoS.Nagata;M.Tsuchiya;S.ASano;Y.Kaziro;T.Yamazaki;O.Yamamoto;Y.Hirata;N.Kubota;M.Oheda;H.Nomura: Nature. 315. 415-417 (1986)
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[Publications] S.Nagata;M.Tsuchiya;S.Asano;O.Yamamoto;Y.Hirata;N.Kubota;M.Oheda;H.Nomura;T.Yamazaki: The EMBO J. 5. 575-581 (1986)
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[Publications] AsanoM.Tamura;K.Hattori;H.Nomura;M.Oheda;N.Kubota;I.Imazeki;M.Ono;Y.Ueyama;S.Nagata;N.Shirafuji;S.: BBRC.