1987 Fiscal Year Annual Research Report
同種移植におけるシクロスポリンとドナー抗原併用前投与による特異的寛容状態の誘導
Project/Area Number |
61480271
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岡 隆宏 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (60079837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安村 忠樹 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10174525)
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Keywords | シクロスポリン / ラット移植腎 / 3MーKCl抽出抗原 / ドナー血輸血 / active enhancement |
Research Abstract |
近交系Buffaloラット(BUF)とWistarーFurthラット(WF)間の腎移植で, 移植前にドナーのリンパ球から3モルKClで抽出したドナー抗原あるいは輸血を行い, シクロスポリン(CsA)を3日間投与するとドナー特異的に移植腎の生着期間が延長した. また移植後10日目のレシピエントのリンパ球はドナー, レシピエント間のMLRを特異的に抑制した. そこで本年度ではさらに, レシピエントのリンパ球のサプレッサー活性を確かめるために膝下リンパ節を用いた局所GVHR, adoptive transfer, cyclophosphamide投与による生着期間の変化を検討した. 1000radの全身照射を行ったBUF, あるいはthird party controlのBrown Norwayラットのfoot padに, 正常WFのリンパ球とレシピエントのリンパ球を混注した結果, レシピエントのリンパ球はドナー特異的にGVHRを抑制した. このリンパ球を, 無処理でBUF腎を移植したWFにadoptive transferした結果, 短期間ではあるが有意な生着期間の延長を認めた. さらにCsAとドナー抗原を併用投与したレシピエントにcyclophosphamideを投与した結果, 有意な生着期間の短縮が認められた. このように短期間のCsA投与でも, ドナー抗原を併用投与すると, レシピエントにおけるサプレッサー活性が高まり, CsAによるヘルパー活性の抑制との協同作用によって, 生着期間が延長すると考えられた. そこで生着期間をさらに延長させるため, 3回のCsAとドナー抗原あるいは輸血の周期的反復投与を行った. この結果, CsAのみの反復投与では投与間隔が短くなるにつれ生着期間が延長し, ドナー抗原の反復投与では平均生着期間が65日以上と著明な延長が認められたが, 輸血ではこの効果は認められなかった. これらの結果より, CsAとドナー抗原, あるいは輸血の併用投与は有効な免疫制療法となり得ることが判明した.
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[Publications] 安村忠樹: 移植(日本移植学会雑誌). 20. 117 (1985)
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[Publications] 安村忠樹: 移植. 20. 181 (1985)
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[Publications] Takahiro,OKA: Transplantation Proceedings. 19. 2012-2016 (1987)
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[Publications] Norio,YOSHIMURA: Transplantation Proceedings. 19. 1194-1198 (1987)
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[Publications] 安村忠樹: 移植. 23. 7 (1988)