1988 Fiscal Year Annual Research Report
膵移植の基礎的研究(特に急速凍結保存とreplicatory activityについて)
Project/Area Number |
61480279
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Research Institution | Fukui Medical School |
Principal Investigator |
中川原 儀三 福井医科大学, 医学部, 教授 (10019549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野手 雅幸 福井医科大学, 医学部, 助手 (60189412)
小島 靖彦 福井医科大学, 医学部, 講師 (00135071)
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Keywords | 膵ラ島 / 凍結保存 / 移植 / 新生児膵 / 再生能 |
Research Abstract |
実験1.凍結保存ラ島の移植実験 (1)方法:前年度の実験の結果、ハムスター膵ラ島はviableな状態で保存が可能であると判明した。そこで近交系ハムスターGN種より分離し、急速凍結保存したラ島1000個をSTZにより糖尿病を誘発させた同系の腎被膜下に移植した。移植後は血糖、体重、尿量を測定して効果を判定、移植後56日目にIVーGTTを施行して、その後腎摘した。移植ラ島細胞の再生能の検索では、^3Hーthymidine 30μCiを腹腔内に8時間毎4回投与し、最終投与の1時間後に犠牲死させ、腎を摘出してオートラジオグラフィー法によりラ島細胞を標識して、そのlabelling indexより移植ラ島の再生能を検討した。(2)結果:糖尿群および対照群(非凍結培養ラ島移植)の両群では、移植後直ちに血糖は正常化し、腎摘するまで正常値を維持した。尿量は移植前において多尿であったが、移植後3ml/日と正常化し、体重も移植後次第に増加した。IVーGTTの結果は両群とも負荷後10分で、血糖300mg/dl前後にまで上昇したが、60分後には190mg/dl前後まで低下し両群間に差は認めなかった。一方、移植ラ島の形態学的観察では、腎被膜下にviableなラ島集塊を認め、同染色のABC法によるインスリン染色では、ラ島集魂に一致して茶褐色に染色されるインスリンの存在をみた。移植ラ島のlabelling indexの結果は凍結群では1.38±0.24、対照群では0.92±0.38であり両群間に有意差をみなかった。 実験2.新生児膵よりのラ島分離 新生児ハムスター膵を摘出した後、眼科用クーパーで細切し、コラゲナーゼでmild incubationして得られた組織を培養した。培養数日で培養器底面に球形のラ島が分離された。分離されたラ島はインスリン染色で茶褐色に染色され、またその再生能は成熟膵の5倍で、グルコース負荷によるインスリン分泌能は成熟膵のそれと同等の値であった。
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[Publications] 小島靖彦: 移植. 23. 577-581 (1988)
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[Publications] 中川原儀三: 外科診療. 31. 366-373 (1989)
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[Publications] Wataru Fukushima: Transplantation Proceedings. 21. (1989)