1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480281
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
水本 龍二 三重大, 医学部, 教授 (00025561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 嘉文 三重大学, 附属病院, 講師 (00126963)
野口 孝 三重大学, 医学部, 講師 (40144258)
川原田 嘉文 三重大学, 医学部, 助教授 (40024814)
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Keywords | 残存肝動脈遮断 / 過酸化脂質 / Coenzyme【Q_(10)】 / 長期生存 / 同所性全肝移植 / 静脈静脈バイパス / 術中術後管理 / 肝移植片保存 |
Research Abstract |
肝移植においてdonor及びrecipientの両者を同時に長期生存させることを目的として、犬を用い同所性部分肝移植を行うが初年度は以下の基礎的検討を行った。 1.donorの肝広範切除・肝動脈同時遮断の病態とCoenzyme【Q_(10)】(Co【Q_(10)】)の効果:部分肝移植の肝動脈吻合には肝移植片の動脈として総肝動脈を用いるため、donorの肝移植片採取時に残存肝に流入する肝動脈を同時に遮断して肝移植片に総肝動脈をつけて摘出検討した。ペニシリン投与下でdonor犬が長期生存可能か否かを主としてfree radicalの立場からみると、70%肝切除・肝動脈同時遮断の4週以上生存率は42.9%で肝障害を高度に認めたが、これにCo【Q_(10)】投与すると4週以上生存率が80%以上と有意に向上し、かつ肝障害も軽微で肝の形態並びに機能的再生は良好であった。電磁血流計で測定した残存肝の血流量は門脈単独支配にもかかわらず相対的に増加していた。残存肝組織や血漿中過酸化脂質量はCo【Q_(10)】で著しく減少し、残存肝機能障害は軽減して長期生存可能となり、このモデルは部分肝移植ドナーとして用いることが可能となった。2.同所性全肝移植:部分肝移植のコントロールとして全肝移植の検討を行った。recipientの肝全摘後、下大静脈や門脈うっ血に対処するべく、これらの血液を頚静脈に返血する静脈静脈バイパスを送血ポンプ(ヘパリン非使用)を用いて施行した結果、全例術後24時間以上の生存が得られ、術死はなく、また肝移植片の灌流保存や術中術後の輸液管理、血行動態の安定化に対しても満足すべき成績が得られた。 以上の成績に基づいて、次年度からの部分肝移植における手術手技の確立、術中術後管理法の充実をはかるとともに、移植肝の機能や免疫能についても検討を加えていく所存である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 水本龍二: 日本外科学会雑誌. 87. 1499-1502 (1986)
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[Publications] 水本龍二: 日本醫事新報. 3277. 25-30 (1987)
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[Publications] 水本龍二: "消化器外科手術全書「肝臓の手術」" 株式会社南江堂, 35 (1986)