1987 Fiscal Year Annual Research Report
漸進的門脈遮断を利用した小児部分肝移植の実験的研究
Project/Area Number |
61480286
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 恵一 九州大学, 医学部, 教授 (00038655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 進 九州大学, 医学部, 助手 (00167644)
中川原 章 九州大学, 医学部, 講師 (50117181)
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Keywords | 小児部分肝移植 / 漸進的門脈遮断 |
Research Abstract |
昭和62年度は, 昭和61年度に実施した犬,豚を使っての自家移植, 同所性全肝移植, 異所性全肝移植, 同所性部分肝移植を基礎にして, 研究課題である漸進的門脈遮断を利用した同所性部分肝移植を中心に実験を行った. 実験方法:Graftには犬の肝左葉のみをin situで冷却灌流して用いた. Recipientは肝中心葉, 左葉を切除し, 右葉のみを残した. Recipientの門脈血は残った肝右葉を通って流れるため, 体外シャントを必要とせず, 術中の循環状態は安定していた. この状態でgraftの下大静脈をrecipientの肝静脈に吻合し, graftの門脈本幹をrecipientの門脈左枝に吻合する方法で同所性部分肝移植を行った. その後, recipientの残存した肝右葉に障害を与え, 線維化させる目的で門脈右枝にアメロイドリングを装着した. 対照群としてはrecipientの門脈右枝にアメロイドリングを装着するかわりに, 門脈右枝を結紮し, アメロイドリング群と生存率, graftの組織,recipientの残存肝右葉の組織を比較検討した. 結果:アメロイドリング群は22回実験を行い, 8頭に3日以上の生存を得た. そのうち4頭は, 19,13,13,9日生存した. これらの生存犬のgraft肝組織は拒否反応の所見もなく, 生着状態は良好であった. 対照群は6回移植実験を行ったが, 最長5日間生存したが有意に死亡率が高かった. 今後の方針:63年度もアメロイドリングを用いた漸進的門脈遮断による同所性部分肝移植を中心に実験を行い, さらに長期生存を目指す. さらに今後の臨床への応用を想定して安全でかつgraftとして利用できる肝分部切除および灌流の方法の開発, 現犬をdonorとするliving donorによる部分肝移植実験などを行う予定である.
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