1988 Fiscal Year Annual Research Report
漸進的門脈遮断を利用した小児部分肝移植の実験的研究
Project/Area Number |
61480286
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 恵一 九州大学, 医学部, 教授 (00038655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 進 九州大学, 医学部, 助手 (00167644)
中川原 章 九州大学, 医学部, 講師 (50117181)
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Keywords | 小児肝移植 / 部分肝移植 / 漸進的門脈遮断 |
Research Abstract |
昭和63年度は漸進的門脈遮断を利用した犬同所性部分肝移植を前年度にひき続き行い、漸進的門脈遮断群として合計33回、一期的門脈結紮群合計11回の実験を行った。漸進的門脈遮断群は33回中18回に24時間以上の生存を得、11頭は5日以上生存した。最長生存は19日であった。一期的門脈結紮群は11回中8回で24時間以上生存した。5日以上の生存は3頭で、最長12日であった。これら2群の結果から以下の結論を得た。 1.生存期間、漸進的門脈遮断群は平均7.7±5.8日(n=18)、一期的結紮群は4.5±3.6日(n=8)と漸進的門脈遮断群の方が生存期間が長い傾向にあった。2.術後肝機能の推移、T.Bil、GOT、γーGTPの各値で、術後1日目、3日目、5日目を比較したが、漸進的門脈遮断群の方が低値をとる傾向にあり、肝機能障害がより軽度と思われた。3.術後経過、漸進的門脈遮断の19日、16日生存犬では、術後7日目前後に急性拒絶反応が認められたが、免疫抑制剤の増量で克服できた。10日以上生存した犬の死固は、消化管出血、肺出血、胆汁性腹膜災、血栓症などであった。4.移植後肝重量、漸進的門脈遮断群の移植肝は剖検時術前の約1.8倍に肥大していた。5.組織学検査、長期生存犬では、肝細胞、小葉構造ともによく保たれていた。残存した宿主肝は空胞変性、壊死を広範に認めた。 以上の結果から漸進的門脈遮断を利用した部分肝移植は、一期的に門脈を結紮するよりよい成績が得られると思われた。本実験では最長19日の生存しか得られなかったが、術後管理をさらに検討することにより、より長期の生存が得られるようになれば、臨床応用も可能であると思われる。
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