1986 Fiscal Year Annual Research Report
消化管ホルモン,胃運動,胃分泌動態よりみた胃手術術式の検討
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61480288
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
青木 照明 慈恵医大, 医学部, 講師 (20056708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20138704)
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Keywords | 十二指腸潰瘍 / 自律神経 / ガストリン / 迷走神経切離術 / 胃酸分泌 / 胃内PHモニター / antralG-Cell hyperplasia / 【H_2】receptor antagonists |
Research Abstract |
1.臨床的研究;(1)これまでの研究成果から、消化性潰瘍の病因・病態は多因子依存性であることを報告してきた。とくに十二指腸潰瘍の病態に関して従来の副交感神経(迷走神経)依存度の高い過酸分泌病態とZollinger-Ellison症候群を他方の極とする体液性因子(ガストリン)依存性の高い過酸分泌病態が連続的あるいは進行性に関連していることが想定された。 以上の病態は、インスリンあるいはアドレナリン負荷試験による酸分泌とガストリン分泌の同時測定により分類判定可能である。これらの病態の差が手術的治療方針決定に及ほす影響は明白であり、全胃保存迷走神経切離術、迷走神経切離術+幽門洞切除術、広範囲胃切除術などの術式選択が個々の症例において考慮されねばならない。 1980年度より本年度までに58例の十二指腸潰瘍患者に対し、prospectiveな術式適応を行い、現在酸・ガストリン分泌などをはじめ術後病態を追跡検討中であるが、ほぼ満足すべき成績である。 (2)酸分泌に関与する夜間副交感神経緊張と、覚醒時の食後期ガストリン遊離の関与度を含めた日内変動を、より正確に把握し分析するために、微小胃内電極を用いた24時間PHモニタリングと上記刺激剤による酸分泌パターンの比較検討を7例の十二指腸潰瘍患者に対し施行した。しかし、現在までのところ、PHという質的(酸濃度)変動と刺激剤による酸分泌・ガストリン分泌などの量的(1時間あたり)変動パターンとの間に有意の相関は見出せず、今後継続的研究が必要である。 2.基礎的研究:Ratを用いた長期的酸分泌抑制モデル(【H_2】-blocker)において有意の幽門洞G細胞過形成を認めた(機能的・形態的)。臨床症例でもすでに2例のantralG-Cell hyperplasia(AGH)を経験しており病態論治療学上今後の重要課題のひとつである
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 青木照明: 日本消化器外科学会雑誌. 18(4). 841-850 (1985)
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[Publications] 青木照明: 日本消化器外科学会雑誌. 18(10). 2192-2195 (1985)
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[Publications] 青木照明: 日本外科学会雑誌. 87(9). 1140-1143 (1986)
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[Publications] 青木照明: 胃と腸. 21(10). 1089-1095 (1986)
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[Publications] 梅沢充: 胃分泌研究会誌. 18回. 83-86 (1986)
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[Publications] 高山澄夫: 胃分泌研究会誌. 18回. 103-106 (1986)
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[Publications] 青木照明 ほか: "胃手術後障害のすべて" 南江堂, (1987)
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[Publications] 高野哲: "消化管ホルモン(【VI】),十二指腸潰瘍症患者と正常者におけるG細胞類、とその機能について" 医学図書出版, 7 (1986)
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[Publications] 鳥海弥寿雄: "消化管ホルモン(【VI】)【H_2】-拮抗剤によるhypergastrinemiaに及ぼす合成セクレチン製剤の影響について" 医学図書出版, 6 (1986)
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[Publications] 青木照明: "消化器病学の進歩85'【H_2】ブロッカーと外科治療の位置づけ" 日本医学館, 2 (1986)
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[Publications] 青木照明: "胃酸分泌機構と壁細胞受容体拮抗剤胃酸分泌機構における迷走神経・交感神経とadrenalinの関与" 東洋書店, 14 (1986)