1988 Fiscal Year Annual Research Report
癌患者血清、気管支洗浄液等のglico-protein分画中の腫瘍特異物質の解明
Project/Area Number |
61480295
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University, School of Medicine |
Principal Investigator |
龍村 俊樹 富山医科薬科大学附属病院 救急部, 助教授 (80126531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 岑夫 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (00019118)
山本 恵一 富山医科薬科大学, 医学部 第1外科, 教授 (80019885)
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Keywords | 高速液体クロマトグラフィー / 低分子量癌特異物質 / 癌血清 / 気管支洗浄液 |
Research Abstract |
高速液体クロマトグラフィーを用いて、癌及び非癌患者血清 (カラムTSK-G3000SW) を分析したところで、Retention time (RT) 34分のところに、癌患者では有意に、低値を示す分画を認めた。そしていくつかの標準蛋白質を用いて、この分子量を推定したところ、分子量が2万以下であることが判明した。低分子域に分析能の良いカラムTSK2000SWを用いて、再検討を行ったところ、私共が問題とするRT34分の分画をさらに3成分に分けることができ、RT32分、34分とRT35分であった。これら3つの分画のうち、RT34分のものが癌患者において有意に高値を示した。一方、RT32分と35分とは有意に低値であった。また気管支洗浄液、癌性胸水及び腹水においても、TSK2000SWカラムでのRT34分の分画は、高値を示すことが判明した。そこで、私共はTSKgell2000SWを用い、RT34分分画中の物質に、癌特異物質が含まれている可能性が極めて大きいと考えた。その分子量は20,000以下であり、従来の癌特異抗原とみなされているCEA (分子量20万) 、AFP (7万) とはまったく別の物質であると考えられる。私共はRT34分の物質を多量に分取する目的で、まずモルキュラーカッターを用いて、分子量3万以上の蛋白質を濾過法により排除し、比較的多量の血清を一時に流すことを試みたが、まだ同定するにはいたっていない。さらに現在、XK26/100カラムを用い、ゲル濾過担体は、Sephacryl S-100HRを用いて、該当分画の抽出を行っているところで、この物質を大量に採取し得た後、当該分画に幾種類の蛋白質が含まれているか?またその中のどれが癌患者血清中の特異物質であるのかなどを解明してゆきたい。それらの解明により臨床上応用可能な研究にまで発展させることができると考えている。
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[Publications] 村上新、龍村俊樹、清水岑夫、森田直賢: 金沢大学十全医学会雑誌. 96. 575-586 (1987)
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[Publications] T.Tatsumura;et al: 78th Annual Meeting of American Association for Cancer Research. 28. 179 (1987)
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[Publications] S.Koyama;T.Tatsumura;et al: 78th Annual Meeting of American Association for Cancer Research. 28. 181 (1987)
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[Publications] 龍村俊樹 他: 第47回 日本癌学会総会記事 (GANN). 416 (1988)