1988 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍における多剤併用療法の検討-抗癌剤の変異誘起作用に関連して-
Project/Area Number |
61480307
|
Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高久 晃 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (70004984)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 伸夫 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (10135006)
|
Keywords | 多剤併用療法 / 水溶性ニトロ 素系抗癌剤 / 化学療法 / 薬剤耐性 / 脳腫瘍 / 突然変異 |
Research Abstract |
V79細胞を用いた突然変異検出実験によって、以下の事をおこなった。 1.ACNU処理による種々の抗癌剤耐性細胞の誘導に関する検討 〔方法〕対数増殖期の細胞をACNUにて処理し、正常培地にて6日間培養を行った。この細胞を再播種し、生存率検出群と突然変異検出群の2群に分けた。生存率検出群は正常培地で、突然変異検出群はそれぞれの選択培地にて、10-14日間培養を行った。出現した耐性コロニー数を算定し、突然変異頻度(10^5個生細胞当りの耐性細胞出現頻度)を求めた。ACNUの変異原としての処理濃度は、生存率が1-10%となる1-4μg/mlを用いた。選択培地濃度は、生存率が10^<-4>-10^<-7>になる高濃度のものを使用し、今回、adriamycin(ADM)(270ng/ml)、cisplatin(1μg/ml)、mitomycin C(MMC)(110ng/ml)、demecolcin(21ng/ml)を用いた。 〔結果〕ACNU処理によってADM、MMC、cisplatin、demecolcinのいずれの耐性細胞も誘導され、その発現はACNU処理濃度に依存した。しかし選択培地に用いた抗癌剤の種類によって突然変異率は異なり、生細胞率は異なり、生存率が85%となるACNU処理では、対照と比較し、それぞれ50倍、19倍、8倍、4倍であった。 2.耐性細胞の出現に及ぼすverapamil HCI(INN)の作用の検討 〔方法〕ACNUにて処理し形質発現時間後、選択培地として、ADM(280ng/ml)、MMC(110ng/ml)を用い、それぞれに、細胞の生存率に影響を及ぼさない量のINN(2.5μg/mlを含む群と、含まない群に分け、比較検討した。 〔結果〕ACNU処理によるADM耐性とMMC耐性の発現は、INNの選択培地への添加により抑制された。Ca2^<+->antagonisであるINNは、変異誘起作用によって誘導された耐性細胞の出現を抑制する事が実証された。
|