1986 Fiscal Year Annual Research Report
NMR法による麻酔下および低酸素下における脳代謝,脳内生理活性物質の動態測定
Project/Area Number |
61480329
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤原 直士 新大, 医学部, 助手 (70181419)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 美智子 新潟大学, 医学部, 助教授 (80018340)
湯浅 龍彦 新潟大学, 脳研究所, 講師 (10115090)
|
Keywords | NMRスペクトロスコピー / 脳代謝 / 【^(13)C】-グルコース / 吸入麻酔薬 / 乳酸 |
Research Abstract |
本年度はラットを用い、invivoでの脳内代謝関連物質の【^1H】および【^(13)C】-NMRスペクトロスコピーの基礎的検討、並びに生体での吸入麻酔薬の【^(19)F】-NMR測定に関する基礎条件を得るためのin vitro測定を中心に検討した。 【^1H】-NMRはラットをペントバルビタール麻酔下に頭皮を直径1cmほど切除し、頭骨表面に検出コイルを密着して測定した。パルス系列1331とCPMG法を組み合せることにより、水や脂質の影響を低減して乳酸,N-アセチルアスパラテート等のシグナルを検出した。低酸素を負荷すると乳酸のシグナル強度が増加するが、現在、この変動について検索している。 同様に処置したラットに【^(13)C】-グルコースを静注あるいは腹腔投与(いずれも250mg/kg)することにより、脳からの【^(13)C】-グルコースのシグナルを検出することに成功した。この測定には【^(13)C】-【^1H】専用の表面検出コイルを用い【^1H】デカップリングによる【^(13)C】シグナルの強度を高める工夫をしている。脳からの【^(13)C】-グルコースのシグナルは静注の場合、投与後2分間の測定ですでに検出され、30分後にはシグナルはほとんど消失した。腹腔投与の場合は投与後10〜20分程でシグナル強度が最大となり、60分後ではほぼ検出できなくなった。これら【^(13)C】-グルコースの動態を検索するとともに、【^(13)C】-グルコース由来の代謝物質についても検出を試みている。 一方、吸入麻酔薬であるイソフルレンの【^(19)F】-NMRは水中と炭化水素系溶媒中ではスペクトルの分裂様式が異なることを見出しており、麻酔薬の分布や脂質との相互作用の検索に応用できることが示唆される。 以上、本年度は測定手法を中心に検討してきたが、麻酔や低酸素条件での上記検索を深めるとともに、生理活性物質等の微量成分検出についても検討する予定である。
|