1987 Fiscal Year Annual Research Report
分離肺循環を用いた局所麻酔薬の薬理作用に関する研究
Project/Area Number |
61480335
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤森 貢 大阪市立大学, 医学部, 教授 (60046919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立川 茂樹 大阪市立大学, 医学部, 助手 (20128739)
行岡 秀和 大阪市立大学, 医学部, 講師 (80117986)
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Keywords | 局所麻酔薬 / リドカイン / 分離肺循環 / 肺への取り込み |
Research Abstract |
局所麻酔薬リドカインの肺血管, 血液ガス値に及ぼす影響ならびに肺への取り込みを調べるため, 2頭の犬を用いて分離肺循環の実験系を確立した. 〔分離肺循環の方法〕犬をGOF麻酔下に開胸し, 左上葉ならびに心臓葉を切除し, 左下葉の気管支にチューブを挿入して右肺との分離換気を行なった. 左肺下葉動精脈に灌流用および圧測定用のカテーテルを留置し, もう一頭の犬の股静脈血をポンプを用いて一定流量で左下葉肺動脈に送血し, 左肺静脈からドナー犬の外頭静脈へ返血した. 送血カニューレよりリドカインを微量注入器により投与した. 左下葉を50%酸素で換気し, リドカインの血中濃度が40μg/ml以下では肺動脈圧, 肺静脈圧, 血液ガス値の変化はなかった. 40〜70μg/mlでは肺動脈圧, 肺静脈圧は軽度増加し, 140μg/mlでは肺血管は有意に収縮した. この時肺静脈のPo_2が有意に増加した. この高濃度リドカインによる肺血管収縮は肺血管に対する直接作用と考えられた. また肺静脈Po_2の増加が生じていることよりこの肺血管収縮は低酸素状態にある肺血管により強く生じている可能性が考えられる. そこで3%酸素による低酸素換気下で同様の実験を行うと, リドカインはより低濃度で肺血管を収縮させることが分った. アンジオテンシンにはこの低酸素による肺血管収縮増強作用は認められなかったので, リドカインの特異的な作用と考えられる. リドカインの肺への取り込みは, リドカイン注入1分後で約50%, 3分以降では20%以下に低下した. この取り込みはリドカインの血中濃度により差がなかったことより単純拡散が主であり, 飽和的な取り込みは少ないと考えられる. またこのような肺への取り込みには, 血液PH, 蛋白結合などの因子が関与している可能性がある.
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