1986 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱尿管逆流VUR防止機構の解明と逆流防止手術の検討
Project/Area Number |
61480338
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
土田 正義 秋大, 医学部, 教授 (00004549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能登 宏光 秋田大学, 医学部, 助手 (60164711)
西沢 理 秋田大学, 医学部, 講師 (60091815)
原田 忠 秋田大学, 医学部, 講師 (00108953)
荒井 茂 山形大学, 医学部, 教授 (90004580)
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Keywords | VUR / 腎組織 / 尿管蠕動 |
Research Abstract |
雑種成犬を用いてインピーダンス法を用いて尿管のrigidityを測定したところ、膀胱壁内尿管がrigidityが最も高いことが判明した。このことがVUR防止に関与していると示唆された。また、ポリエチレンチューブを壁内尿管に挿入し両側にVURを作成し、膀胱内に感染源をおきVURによる腎実質、腎盂、尿管の変化について検討した。左側の尿管は2%ホルマリンを尿管内に注入し尿管蠕動を消失させた。これらを作成から約10カ月間にわたり観察し病理組織検討を行った。炎症の発現頻度は左側では尿管、腎盂、腎実質のいずれも100%であり、一方右側は尿管と腎盂が100%と84%を示したものの、腎実質は25%にとどまった。また、腎実質破壊の発現頻度は左に90%と高率であったが、右はわずか10%であった。統計的に左側では腎盂と腎実質病変との間に相互関係がみられたものの、右側では証明されなかった。尿管線維化の頻度は左92%、右30%であった。糸球体病変を評価法を用いて検討した。評価は、評点0(変化なし)から評点4(完全硝子化)までの5段階に分けた。病変発現率は左70%、右62%でありその3/4は軽微な変化であった。1/4は軽度ながらメサンジウム増殖を示していた。しかし、統計学的には糸球体病変には左右差はなかった。 以上のことから、腎実質障害は尿管蠕動の消失による尿うっ滞が重要な因子と考えられた。しかし、糸球体病変は腎硬化(腎実質障害)の程度とは関係なく左右差もないことから腎盂腎炎によるものではないと考えられた。糸球体病変の成立については種々な因子が関与しているものと考えられ今後の課題である。
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