1986 Fiscal Year Annual Research Report
尿路性器腫瘍の悪性進展における細胞間相互作用の研究
Project/Area Number |
61480339
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大島 博幸 医科歯科大, 医学部, 教授 (60013934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 和徳 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40161541)
東 四雄 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50092432)
福井 厳 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (90014232)
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Keywords | 尿路性器腫瘍 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
尿路性器腫瘍の細胞間相互作用について、膀胱癌,前立腺癌を対象に検討している。方法は螢光色素注入法およびACAS-470を用いており、現在の所以下の知見が得られている。1.BBN-実験発癌により得たラット膀胱癌細胞の細胞間コミュニケーション(IC)の検討。BBN-誘発ラット膀胱癌では良好なIC(100個以上/injection)が得られ、現在この細胞を用いて、発癌プロモーターを含めた薬剤のICへの作用を検討している。2.ヒト膀胱癌継代培養細胞におけるICの検討。膀胱腫瘍として教室の患者より樹立された培養株HUB-4,6,15,40,41とT-24を、間質細胞として線維芽細胞を用い、同一腫瘍内,異なる悪性度の腫瘍間,及び各悪性度の腫瘍と間質とのICを検討した。また用いた腫瘍細胞をヌードマウスに移植しその形態を観察した。同一腫瘍内のICは各腫瘍とも約20分で最高値に達した。HUB-4,6,15,40,41の5種はいづれも良好なICを示し、中でもヌードマウス移植にて乳頭状形態を示すHUB-6は最も良いICを示した。一方低分化癌であるT-24のICはほとんどなかった。異なる細胞間のICは乳頭状形態を示すHUB-6と非乳頭状のHUB-15との間にのみ良好に認められた。また各腫瘍細胞と線維芽細胞とのICは認められなかった。3.前立腺継代培養細胞に対するICの検討。PC-3のICは数個程度であり、薬剤(cAMP,Letinoic acid等)による変動を検索中である。4.膀胱,前立腺初代培養細胞におけるICの検討,正常膀胱上皮,膀胱癌,前立腺肥大症,前立腺癌組織のout growth細胞においてICを検討した。前2者は、短期間培養では低いICであり、後2者は培養開始後約1カ月の時点でも高いICを示した。前立腺肥大症培養細胞と前立腺線維芽細胞との間にはICはなく、PC-3との間にも明らかなICはなかった。実験に用いた膀胱,前立腺組織のout growth 細胞はケラチン染色にて上皮性であることを確認した。
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