1988 Fiscal Year Annual Research Report
尿路性器腫瘍の悪性進展における細胞間相互作用の研究
Project/Area Number |
61480339
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大島 博幸 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60013934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 和徳 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40161541)
東 四雄 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50092432)
福井 巌 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (90014232)
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Keywords | 尿路性器腫瘍 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
(1)膀胱腫瘍の細胞間コミュニケーション(IC)に影響を与える物質の検討、を行なうとともに、尿路上皮の悪性化に伴うICの変化を詳細に調べるため組織学的所見以外の新たな悪性度の指標として(2)細胞骨格および(3)細胞表面抗原を検討した。 (1)膀胱腫瘍JTC-30のICに対するホリモンすなわちテストステロン、エストラジオール、コルチゾールの作用を検討した。テストステロンはJTC-30のICをnon-toxic levelで抑制し、この抑制は濃度および時間依存性であった。またこの抑制はテストステロン接触中には持続的に認められ、テストステロンの除去により速やかにコントロールレベルに回復した。一方、エストラジオール、コルチゾールともnon-toxiclevelではICを抑制しなかった。このテストステロンによるIC抑制作用はヒト線維芽細胞では認められなかった。上記の検討を他の膀胱腫瘍細胞JTC-32でも行なったが、ほぼ同様の結果を得た。ICの抑制と発癌との密接な関連から考えると、以上の結果は膀胱腫瘍の性差の一因を説明するものであるかもしれない。 (2)細胞骨格の中ではサイトケラチンの変化を検討した。正常膀胱上皮のセイトケラチンは細い均一な太さの線維で、細胞質内を直線状に走り、かつ均等に分布していた。腫瘍細胞では、その線維に太さの大小不同、蛇行、細胞内分布の不均等などの変化が認められた。また各膀胱腫瘍継代培養細胞のヌードマウス移植における組織学的形態とサイトケラチンの形態変化とを対比し、両者が比較的並行している所見を得た。 (3)JTC-30に対して作製したモノクローナル抗体(MoAb;A8H、B11A、C7A)はA型抗原に関連した抗原を認識する特性を示したが、抗AMoAbとは異なる反応性を示し、膀胱腫瘍の染色される頻度は抗JTC-30MoAbsの方が抗AMoAbより低く、かつ再発腫瘍における対応抗原の変化も前者の方が早期に生じていた。抗JTC-30MoAbsは悪性化に伴いより不安定となる抗原を認識していると考えられた。
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Research Products
(2 results)