1986 Fiscal Year Annual Research Report
二次電子ならびに反射電子モード走査型電子顕微鏡による尿細胞診の確立
Project/Area Number |
61480341
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大森 弘之 岡山大, 医学部, 教授 (30068986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
公文 裕巳 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (30144760)
田仲 俊雄 岡山大学, 医学部附属病院, 助教授 (10033276)
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Keywords | 尿細胞診 / 走査型電子顕微鏡 / 免疫電顕 / 二次電子像 / 反射電子像 |
Research Abstract |
膀胱癌の早期診断において尿細胞診は優れた方法論のひとつではあるものの、現在のパパニコロ染色による光学顕微鏡の判定では最も頻度の高い分化型乳頭状癌の正確な診断、ならびに、malignant Potencialの判定が不可能であり、新しい法方論が必要である。本研究の目的は、(1)走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、分化型乳頭状癌を含む膀胱癌細胞表面に存在するpleomorphic microvilliの診断的意義を他の表面微細構造、細胞の三次元的形態変化との関連において再確認する。(2)細胞診の判定を単に形態的変化のみでなく、機能的変化も加味するため、癌化に伴う血液型抗原、レクチン・レセプターなどの細胞表面複合糖質の変化を免疫組織化学的手法を用いSEMで解析することであり、最終的には集検を含めた臨床応用可能な新しい細胞診の確立を目指す3年計画の研究である。初年度は補助金によりGWアニューラー形反射電子検出器(日製産業,タイプ30PH)を、教室所有のSEM(S-570)に組込んだ。この際、分解能の向上をはかるため日立製作所永谷博士の協力を得て、本邦初のインレンズ方式の新しいシステムとした。これにより反射電子像の分解能は飛躍的に向上し、金コロイド粒子をマーカーとする反射電子モードによる免疫電顕は、従来我々が使用してきたバクテリオファージをマーカーとする二次電子モードによる免疫電顕よりも実験目的に適合していることが判明した。しかも、両マーカーを併用する二重染色法も可能となり、以後これらの方法を使用し、細胞診の判定に細胞の機能的変化の要素を組込んでいく予定である。一方、反射電子モードによる細胞質内の情報の質は、尿中剥離細胞という極めてヘテロの細胞集団では、凹凸情報に強く影響されかならずも有用とは言えず、形態学的grading systemとしては、二次電子モードSEMと光学顕微鏡とを併用して我々が考案したもの(J.Election Microsc.32,1983)で充分であると考えられた。
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Research Products
(2 results)