1986 Fiscal Year Annual Research Report
原発癌と頚部リンパ節転移癌の免疫学的heterogeneityに関する基礎的研究
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61480359
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石川 哮 熊本大, 医学部, 教授 (00009143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪川 勉 熊本大学, 医学部, 講師 (20151251)
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Keywords | CLp / CLm / キラーT細胞 / 原発癌 / 転移癌 |
Research Abstract |
現在までに12名の頭頚部癌患者(舌癌1例、中咽頭癌1例、下咽頭癌6例喉頭癌2例、耳下腺癌2例)から原発および頚部リンパ節転移癌の分離に成功した。これらの癌細胞をマイトマイシンCで処理し、自己末梢血リンパ球と混合培養した。更にrIL2で培養をつづけ、このキラーT細胞を実験に用いた。実験計画は(1)原発癌で誘導したキラーT細胞(CLp)が原発癌と転移癌をどの程度障害するか(2)転移癌で誘導したキラーT細胞(CLm)が転移癌と原発癌をどの程度障害するか(3)CLpの原発癌障害の系に【^(51)Cr】を標識していない転移癌を混合した時、CLpの原発癌障害活性が抑制されるか(4)CLmが転移癌を障害する系に【^(51)Cr】を標識していない原発癌を混合した時、CLmの転移癌障害活性が抑制されるかを検討することである。(1),(2)はdirect tilling assayで、(3),(4)はcold target inhibition testである。上記12例の検討結果は以下の如くである。(1)誘導されたCLm,CLpは共にOKT【3^+】【8^+】,OKT【3^+】【4^+】のリンパ球を持っていた。(2)CLmは全体として障害活性が低かった。(3)CLpは原発癌も転移癌も障害するが、全体として原発癌に対する障害活性が高く転移癌との間に障害活性の差がみられた。(4)採取できた癌細胞数に限界があって【^(51)Cr】を標識していない癌細胞の数をいろいろに変えて検討することができたのは2例であった。そのcold target inhibitionの結果は、CLpの原発癌障害の系で、未標識原発癌は数に応じて抑制したが、未標識転移癌は軽度の抑制がかかったのみであった一方、CLmの転移癌障害の系では、未標識原発癌も転移癌も軽度の抑制がかかったのみであった。現在のところ得られた結果から結論できることは(1)転移癌はキラーT細胞誘導に関る抗原活性が低いということと、(2)原発癌と転移癌の間には、それぞれで誘導されたキラーT細胞に対する反応性に差がある、という2点である。症例を増して確認を行う計画である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 石川哮: Auris Nasus Larynx. (1987)
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[Publications] 石川哮: Clinical and Experimental Immunology. (1987)
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[Publications] 石川哮: "頭頚部腫瘍の治療ー頭頚部癌の免疫療法ー" 医学教育出版, 418 (1987)