Research Abstract |
頭頚部癌患者12例の原発癌及び頚部リンパ節転移癌を手術的に採取し, 癌細胞を純化した. 一方, 同患者から末梢血リンパ球を採取し, 実験材料とした. 癌細胞をマイトマイシンCで処理し, 末梢血リンパ球と混合培養(MLTC)5日間の後, recombinant interleukin 2 (rIL2)で更に活性化し, これを誘導癌障害リンパ球(CL)とした. これらの材料を用いて, 原発癌と転移癌のCL誘導活性(免疫原性)の違いと, CLで障害されるそれぞれの感受性の違いを検討した. 原発癌とのMLTCで誘導されたCL(CL_P)が転移癌あるいは転移癌を障害する活性, 転移癌とのMLTCで誘導されたCL(CL_M)が転移癌あるいは原発癌を障害する活性を検べ,次の如き結果を得た. (1)CL_Pは12例中7例(58.3%)に誘導され, (2)その内5例は転移癌も強く障害し, 2例は軽度の障害を示した. (3)CL_Mは12例中4例(33.3%)に誘導され, (4)その内1例のみが原発癌も障害した. 又, CL_Pが原発癌を障害する系に^<51>Cr未標識転移癌を加えるcold targer inhibition testでCL_P活性は軽度の抑制しかかからず, CL_Mが転移癌を障害する系に未標識原発癌をcold targerとして加えた場合, 抑制がみられた. この研究は全て人の癌で, しかも自己の系で行ったため, 実験材料を充分持つことができず, 詳細な検討は行えなかった. 特に誘導CLはOKT3^+8^+が主体ではあるが, OKT3^+8^+もこの癌障害活性に関わっていることが考えられるし, 又, 誘導CLが単一クローンであることは未だ証明されていない. この段階では, 明確な結論は出せないが, 得られた結果から推論できることは転移癌の免疫原性は原発癌のそれに比較して低いことと, 原発癌はheterogeneityを示す複数の成員(A,B,C,D,…)から構成され,その一部(A)が転移している可能性が示唆された. 即ち, 原発癌A,B,C,D…で誘導されたCL^Pは転移癌(A)も障害するが, 転移癌(A)で誘導されたCL.ナ_<M.ニ>は原発癌の一部のみを障害すると考えられた.
|