1986 Fiscal Year Annual Research Report
網膜の器管培養におけるオプシン形成:基礎的研究および臨床薬理学への応用
Project/Area Number |
61480364
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
玉井 信 東北大, 医学部, 助教授 (90004720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 誠一 東北大学, 医学部(眼科), 講師 (20111271)
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Keywords | ラット / 網膜 / 器官培養 / 分化 / ロドプシン / オプシン / 固相酵素免疫測定法 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
ステンレスのグリッドの上にレンズペーパーをのせて、その上にラット後極部の眼を開いて置くことにより、網膜の器官培養を行なった。培地は、イーグルのMEM,牛胎児血清および50%ニワトリ胚抽出液を3:3:1に混ぜたものを使用した。5%C【O_2】,95%空気の下で8日間まで培養を続けた。器官培養網膜のオプシン含量を固相酵素免疫測定法(ELISA)で測定したところ、2日間は生体内と同じ量のオプシンが蓄積した。その後、速度は減少するが、オプシン含量は器官培養8日目まで増え続けた。その測定値は、生後6日目のラット眼球で467±248fmol、4日間培養網膜で562±67fmol、6日間で862±153fmol、8日間で1300±520fmolであった。培養4日目から8日目までの網膜におけるオプシンの局在を、間接酵素抗体法を用いて調べたところ、視細胞内節、外節および外顆粒層に見られた。網膜におけるオプシンの発現は、色素上皮細胞やビタミンA類によって左右されることが示唆されている。そこで、レチノールを器官培養網膜に【10^(-5)】Mから【10^(-7)】Mの濃度になるように加えて、一週間培養を続けたが、レチノールを加えないコントロールの網膜と比べてオプシン量の増加は見られなかった。さらに、色素上皮細胞が視細胞のオプシン産生に及ぼす影響を見るために、単層培養したニワトリ色素上皮細胞の上で神経網膜を培養する組み合わせ培養実験を行なっている。今後は、これらの最適条件を用い、網膜のオプシン量を指標にして、培地の中に現在眼科臨床で用いられている薬剤、例えば、全眼球炎に対する抗生剤、増殖性硝子体網膜症に対する5-FU、AraC、ステロイド、硝子体手術における眼内充てん剤として用いられているS【F_6】、シリコンオイル、【C_3】【F_8】等を加え、その影響を調べることにより安全で最適に用いうる濃度の基礎資料とする考えである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 玉井信,石黒誠一,水野勝義: Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.(Suppl.). 27. 325- (1986)
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[Publications] 玉井信,石黒誠一,水野勝義: 日本眼科学会雑誌(Suppl.). 90. 115- (1986)
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[Publications] 玉井信,水野勝義: 眼科臨床医報. 80. 1929-1932 (1986)