1986 Fiscal Year Annual Research Report
網膜ジストロフィーの成因に関する基礎的および臨床的研究
Project/Area Number |
61480367
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大庭 紀雄 鹿大, 医学部, 教授 (50010070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊佐敷 靖 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70168160)
鵜木 和彦 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手
鮫島 宗文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80041333)
上原 文行 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (30168653)
永迫 文代 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (10101180)
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Keywords | 網膜変性 / レクチン / 複合糖質 / シアリルトランスフェラーゼ / シアル酸 |
Research Abstract |
複合糖質が網膜変性の成因にどの程度に関連するかを求める実験をさまざまな角度から行ない、以下に記する研究成果をあげることができた。 1.基礎的成果として、ピーナツレクチンの網膜視細胞への結合性をサル網膜について調べ、それが中心窩錐体視細胞にも結合することを明らかにした。この事実は、網膜変性として錐体視細胞が選択的もしくは優位に障害される臨床疾患の病態理解のための有用な基礎的知見と思われる。 2.シアル酸含有複合糖質の網膜における生合成について調べた。前駆物質として、放射標識アセチルマンノサミンをサル硝子体に注入し、経時的に眼球を摘出して光顕および電顕オートラヂオグラムを作成した。注入4時間後から視細胞内節や網膜色素上皮に標識物質の局在が証明された。過去の成績から、シアル酸の合成を示すとみなされるので、シアル酸含有複合糖質がこれらの組織に豊富に存在することが示唆される。 3.さまざまなレクチンをラット網膜下腔に微量注入すると網膜変性が発生することを明らかにした。WGAレクチンは視細胞を含む網膜外層に主として変性を生じるのに対して、RCAレクチンは網膜全層におよぶ変性を生じることが判明した。この所見は複合糖質を介した変性と解釈されるから、網膜変性における細胞膜表面複合糖質の重要性が示唆される。この方法は、網膜変性の実験モデルを提供すると思われる。 4.視細胞変性マウス網膜についてシアリルトランスフェラーゼ活性を測定すると、顕著な変動を示唆する所見を得た。 5.網膜色素変性症患者の末梢リンパ球におけるシアリルトランスフェラーゼ活性を測定した。正常者と比較して、有為に活性の低下がみられた。この所見の解釈については今後の検討課題である。
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[Publications] Uehara F;Muramastu T;Ohba N: Experimental Eye Research. 43. 227-234 (1986)
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[Publications] Koide H;Uehara F;Ohba N: Experimental Eye Research.
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[Publications] Unoki K;Uehara F;Sameshima M;Ohba N: Experimental Eye Research.
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[Publications] 内匠勝秀,上原文行,鮫島宗文,大庭紀雄: あたらしい眼科. 3. 575-577 (1986)
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[Publications] 上原文行,鵜木一彦,大庭紀雄: あたらしい眼科. 3. 1349-1350 (1986)
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[Publications] 大庭紀雄,上原文行: "遺伝性眼底疾患" 金原出版, 300 (1987)