1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480375
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉木 周作 昭和大, 歯学部, 教授 (30085740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雄一 昭和大学, 歯学部, 助手 (20180408)
山崎 享 昭和大学, 歯学部, 講師 (40112734)
立川 哲彦 昭和大学, 歯学部, 助教授 (10085772)
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Keywords | 硬組織 / 脱灰切片 / TC標識 |
Research Abstract |
「目的」一般に、硬組織の石灰化しつつある部のアパタイトにキレート結合するとされているテトラサイクリン(TC)も、一部は硬組織の有機成分に結合するといわれている(Simpson,1981)。一方、脱灰切片による類骨組織の識別法(吉木法)で用いられる塩化シアヌル(CC)は、硬組織中の有機成分を強固に固定、保持することがすでに知られている(Yoshiki,1972)。したがって、吉木法により作成された脱灰切片にはTCと結合したごく微量の有機成分も、脱灰に際して流出することなく最大限に保持されることが期待される。この研究の目的は、非脱灰切片を作成する必要があると考えられているTCによる動的骨標識を、作成簡単な脱灰切片上で検出できるよう、工夫、検索しようとするものである。「方法」20mg/kgのTCを投与したラット頭蓋骨を10%中性ホルマリンで固定し、その一部を更にCCで再固定した。それぞれの材料を更に2つに分け、一方を10%ギ酸で、他方を10%EDTAにて脱灰し、パラフィン切片を作成、脱パラ後グリセリン封入し、蛍光顕微鏡にて比較観察した。なお、対照として10%ホルマリン固定材料の一部を樹脂包埋、硬組織カッティングマシーンにて細切後、研磨標本を作成、同様に蛍光顕微鏡にて比較観察した。「結果」研磨標本では、CC再固定の有無にかかわらず、いずれの切片にも明確にTC標識が認められた。脱灰切片ではCC再固定材料をEDTAで脱灰した切片のみに、微弱ではあるが明らかにTC標識を認めることができた。これらの所見はTCを取り込んだ微量の骨有機質をCCはよく固定、保持し、さらに、脱灰の際にもEDTAの緩徐な作用に助けられ、有機質の流出が最少に押さえられたことを示しており、初期の目的は一応達成された。しかし、実際に観察されたTC標識蛍光は弱く、まだ十分実用的とはいえないので今後一層の検索を行なう予定である。
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