1986 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲン性基質の石灰化における基礎質の重要性に関する超微構造的研究
Project/Area Number |
61480376
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
田熊 庄三郎 東京歯大, 歯学部, 教授 (60085694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00157421)
東田 久子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (80085828)
柳澤 孝彰 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (10096513)
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Keywords | 実験的骨様象牙質 / 球状石灰化物 / 非コラゲン性基質 / 類円形細胞 / 結晶含有小体 / 電子顕微鏡 / 分析電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、入為的に露出させたラット臼歯歯髄の自然治癒経過中に形成された骨様象牙質を、電子顕微鏡ならびに分析電子顕微鏡により検索した。 実験的に形成された骨様象牙質の石灰化基質は、水酸アパタイト結晶を沈着させた球状石灰化物の融合より成り、その中に露髄時に圧入された象牙質削片を埋入している。球状石灰化物の有機性基質は、微細粒子から成る基礎質により構成され、コラゲン線維を含んでいない。球状石灰化物の融合の緊密な場合は、球状の輪郭を失ってそこに連続性の石灰化層を作るに至る。このような部分の有機性基質は、電子密度の異なる特異な層板構造を呈する。また球状石灰化物の融合に際し、各所に種々量の細胞成分や周囲のコラゲン線維を少量封入していく。細胞封入部は長く未石灰化領域として残るが、封入されたコラゲン線維はわずかながら石灰化する。しかしこれに基質小胞が関与することはない。 損傷歯髄には細胞質小器官に富む大型の類円形細胞の出現が認められる。この細胞は内部に水酸アパタイト結晶を含む細胞質小体(結晶含有小体)を有することが特徴で、上記球状石灰化物は、結晶含有小体の限界膜と細胞膜との膜融合により、あるいはそれを含む細胞体の変性破壊により細胞外に放出されたもので、その後増大融合しつつ、象牙質削片をその中に埋入せしめて行く。露髄時に圧入された象牙質削片の多くは、好中球と組織球の関与のもとに、ある程度まで細胞外で破壊されて変性象牙質削片となり、その後組織球(マクロファージ)の積極的貧食作用によって吸収され、残った一部のものが骨様象牙質の基質に組み込まれて行く。 球状石灰化物は原生象牙質より高度に石灰化し、酸性ムコ多糖体の硫酸基に起因すると思われる多量のSを含んでいる。また類円形細胞の結晶含有小体も、同様Sに富んでいる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Yanagisawa;Y.Kumamoto;T.Itaya;S.Takuma: Electron Microscopy 1986 T.Imura,S.Maruse,and T.Suzuki,eds.The Japanese Society of Electron Microscopy,Tokyo. vol.IV. 3067-3068 (1986)
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[Publications] 柳澤孝彰,熊本順彦,田中教順,東田久子: 歯科学報. 86. 1914 (1986)
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[Publications] T.Yanagisawa;T.Sawada;Y.Miake;S.Araki;S.Yama: J.Dent.Res.(1987)