1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61480380
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
北村 勝也 福岡歯大, 歯学部, 教授 (50047784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本川 渉 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (60084290)
今村 實 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (50140869)
谷口 邦久 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (90105685)
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Keywords | 味蕾 / 味覚受容 / 味覚変革 / 組織化学 / 電顕的研究 / ラット |
Research Abstract |
味蕾による味覚の受容がどのようにしてなされているかを形態学的方面から追求するために、味の感受性がヒトに類似しているといわれているラットを使用して、味蕾の味覚を変化させる味覚変革物質(甘味の抑制効果をもつギムネマ酸)を作用させた舌乳頭の味蕾について、酵素組織化学的活性の変化を光顕的および電顕的に正常味蕾と比較検索した。今年度は主として光顕的にアルカリフォスファターゼ、酸フォスファターゼ、アデノシントリフォスターゼ、コハク酸脱水素酵素、乳酸脱水素酵素について正常味蕾と比較検索した。この場合に通法によれば凍結切片により検索するのであるが、今年度設備備品として購入した顕微鏡試料用凍結乾燥装置を使用することにより、未固定のまま、真空状態で凍結乾燥してパラフィン包埋し、薄いパラフィン切片を作製して組織化学的検索がおこなわれるので、凍結切片によるよりも、かなり微細なレベルでの観察をおこなうことができた。今年度得られた結果は、ギムネマ酸を作用させると全ての味蕾細胞に酵素活性の変化がおこるが、特に北村が味蕾の構成細胞を3型に分類した第【I】型細胞すなわち従来いわれている支持細胞にあたる細胞の変化が強く、第【II】型細胞すなわち従来いわれている味細胞にあたる細胞の方が弱いようである。現在電顕的検索は少ないが、電顕的にも同様な所見がみられている。このことから、味覚受容に関与する味蕾細胞の作用が、細胞のちがいによって多少異なるものであろうと考えられる。今後は、味覚変革物質としてギムネマ酸の他に、酸味を甘味に変えるミラグリンを作用させた味蕾についても光顕組織化学的研究、さらに電顕組織化学的研究を完成させるとともに、蛍光抗体法および酵素抗体法による研究をおこない、味覚受容における味蕾細胞内の化学物質の動きを詳細に検索し、味蕾の味覚受容機構について形態学的解明をおこなう予定である。
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