1986 Fiscal Year Annual Research Report
雌雄に各々特異的に発現するチトクロームP-450の種差に関する分子生化学的研究
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61480426
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鎌滝 哲也 北海道大学, 薬学部, 教授 (00009177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 雅之 北海道大学, 薬学部, 助手 (40183347)
三浦 敏明 北海道大学, 薬学部, 助教授 (10091505)
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Keywords | 薬物代謝 / 性差 / 種差 / チトクロームP-450 / テストステロン |
Research Abstract |
1.成熟雄ラットに特異的に存在するチトクロームP-450(P-450-male)を精製し、その抗体を得た。 2.ヒト,ビーグル犬,モルモット,ウサギ,ハムスター,マウスおよびラットの肝ミクロゾームをSDS-ポリアクリルアミド電気泳動にかけ、ウエスタンブロット-PAP染色法によりP-450-maleに対する抗体と反応性を有する蛋白の有無を調べた。これら全ての動物種において抗体と反応する蛋白のバンドが検出され、ビーグル犬では単一の蛋白のバンドが認められたが、他の動物では複数の蛋白のバンドが認められた。また、ラット以外にも2〜3の動物種で性差があることが示唆された。 3.テストステロン水酸化の動物種と性による違いを調べたところ、動物の種により16α-水酸化活性が高い動物,7α-や6β-水酸化活性が高い動物と多様な種差を示した。ラットにおいては16α-水酸化活性が高く、抗P-450-male抗体で強く阻害された。ビーグル犬にも16α-水酸化活性が検出されたが、抗P-450-male抗体で部分的に阻害された。他の動物種でも抗P-450-male抗体による阻害は観察されたが、その阻害は16α-水酸化に限らなかった。このことはP-450-maleに構造の類似した蛋白は本研究で用いたヒトを含む全ての動物種に存在するが、その生理的,薬理的機能は動物種によって異なることを示唆する。 4.ビーグル犬では上述したように抗P-450-male抗体と反応する蛋白は単一であることが示唆されたので、雄ビーグル犬肝ミクロゾームより本酵素を均一に迄精製した。その性質については現在検討中である。 5.ビーグル犬肝mRNAを調製し、P-450-male cDNA(P-450M-1cDNAとして癌研藤井部長より供与)をプローブとしてノーザンブロット解析を行なったところ、ポジティブな結果が得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tetsuya Kamataki: Journal of Biochemistry. 99. 841-845 (1986)
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[Publications] Ryuichi Kato: Journal of Biochemistry. 100. 895-902 (1986)
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[Publications] Yasushi Yamazoe: Japanese Journal of Pharmacology. 42. 371-382 (1986)
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[Publications] 嶋田斉: 生化学. 58. 662 (1986)