1987 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作による肝マンナン結合タンパク質の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
61480429
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学部, 助教授 (50025706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 一幸 京都大学, 薬学部, 助手 (60154449)
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Keywords | 動物レクチン / 肝レクチン / 一次構造 / コラーゲン構造 / cDNA / mRNA / スプライシング |
Research Abstract |
1.昨年度の研究により調製したラット肝マンナン結合タンパク貭(MBP)cDNAをプローグとしてラット肝mRNAのNorthern分析を行なった. その結果, ラット肝MBPのmRNAは3.4kbの主要成分と4.5kbの少量成分からなることが明らかとなった. 先に得たラット肝MBPのcDNAは全翻訳領域およびポリA部分を含む874bより成ることから, 肝MBPにはalternative splicingにより生じたいく種かのmRNAが存在すること,また,主要成分は非常に長い非翻訳領域をもつことが示された. 現在, 主要成分の全領域の配列を決定すべく, 新たなcDNAを検索している. 2.ヒト肝臓より肝MBPを単離し, その性貭を明らかにするとともに, そのアミノ酸配列をcDNA塩基配列より決定した. まず, ヒト肝臓のホモジネートを, ラット肝MBPの調製に用いた方法に従い処理することにより, ヒト肝MBPを均一に精製することができた. 本レクチンは分子量290,000で33,000のサブユニットの9量体と推定された. 肝臓100gより約0.5mgの精製標品が得られた. 次に, λgt11をベクターとするヒト肝臓cDNAライブラリーをラット肝MBPcDNAをプローブとしてスクリーニングすることによりヒト肝MBPcDNAを得, その塩基配列をジデオキシ法により決定した. その結果, このcDNAはポリAで終る1417bより成り, 34bの5′非翻訳領域, 810bの翻訳領域, 537bの3′非翻訳領域から構成されていた. この翻訳領域は270アミノ酸残基をコードしていたが, この21番目から23個のアミノ酸は別にタンパク質化学的に決定した本レクチンのN末端配列と完全に一致していた. また, N末端近傍にはGlyーXーYの繰り返し構造がみられ, ラットの場合同様に分子内コラーゲン様構造をもつことが明らかとなった. なお, ヒト肝MBPはC末端部分に22残基のアミノ酸が余分に存在する特色を示していた.
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[Publications] Nakao,Y.: Journal of Biochemistry. 102. 171-179 (1987)
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[Publications] Nakao,Y.: Clinica Chimica Asta. 164. 101-107 (1987)
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[Publications] Ikeda,K.: Journal of Biological Chemistry. 262. 7451-7454 (1987)
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[Publications] Oka,S.: Archives of Biochemistry and Biophysics. 260. 257-266 (1988)
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[Publications] 川嵜敏祐: "細胞工学特集動物レクチンとその機能" 秀潤社, 8 (1987)