ヘキソキナーゼのミトコンドリアとの結合解離の代謝制御的意義

1986 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 61480431
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 石橋 貞彦 広島大, 医学部, 教授 (90012616)
• Keywords: ヘキソキナーゼ / ミトコンドリア / 代謝制御 / 酸素の細胞内局在 / アイソザイム / 肝 / リソソーム性プロテアーゼ

Research Abstract

1.ヘキソキナーゼ(HK)のミトコンドリアへの結合のグルコース代謝への関与
HKのミトコンドリアへの結合は、脳等で特に顕著でグルコース代謝との関連が興味を持たられている。しかし、例えば肝ではこの結合が認められていない。本研究では、肝に関連した実験まで検討を行った。再生肝では、正常肝とほとんど変らず、増殖とHKのミトコンドリア結合との関連は認められなかった。一方種数の腹水肝癌細胞の内、特にAH-130において約10%のHK活性がミトコンドリア画分に認められた。このAH-130をインキュベートすると、細胞質のHK活性が著明に低下するのに対して、ミトコンドリアでの活性はかなりよく保たれた。この際のアイソザイムパターンは、細胞全体としては【II】型がはるかに多いが、ミトコンドリア画分には【I】型と【II】型が共存した。上記のインキュベート後は、細胞質【II】型活性が激減する一方、ミトコンドリア画分でも【II】型が減少した。これらの結果は、従来の知見と考えあわせると、ミトコンドリアに結合したHKはミトコンドリア内で産生されたATPを利用してのグルコース代謝に関し活性なだけでなく安定でもあること、またその挙動が【I】型と【II】型で異ることを示している。
2.肝におけるHKのミトコンドリア結合部位切断にかかわるプロテアーゼ肝にはミトコンドリア結合型HKがほとんど認められない理由として、結合能を有するHKが生合成後修飾される可能性を、脳から精製した結合型HKを用いて検対した。その結果肝リソソーム画分に、HKの活性は変化させずにミトコンドリア結合能のみ消失させるプロテアーゼ活性が見出された。脳にはこのようなプロテアーゼ活性ははるかに低かった。条件を変えて検討した結果、このプロテアーゼは一部がリソソーム膜表面に存在すること、性質がカテプシンMに似ていることを認めた。

Research Products

• [Publications] 石橋貞彦: ファルマシア. 22. 951-953 (1986)
• [Publications] S.ISHIBASHI: ICSU Short Reports. 6. 84-85 (1986)
• [Publications] K.YOKOYAMA-SATO: Arch.Biochem.Biophys.rsionRevised Ve.