1986 Fiscal Year Annual Research Report
肝小胞体膜脂質パーオキシラジカルを活性酸素源とする薬物の酸化
Project/Area Number |
61480432
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
渡部 烈 東京薬大, 薬学部, 教授 (00057316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 晴宏 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (30160807)
平塚 明 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (20165179)
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Keywords | 肝ミクロゾームの脂質過酸化 / 活性酸素 / 脂質過酸化物 / 脂質パーオキシラジカル / 変異原性エポキシド / 膜脂質アラキドン酸 / ジヒドロベンゾ〔a〕ピレン / アフラトキシン【B_1】 |
Research Abstract |
肝小胞体膜脂質の過酸化に伴い生成する活性酸素による薬物の酸化を検討し、薬物の酸化が従来明らかにされているモノオキシゲナーゼ(P-450,【fp_3】)にのみ依存するのではなく、小胞体膜中で不断に起こっている脂質過酸化(LPO)に伴っても起こることが明らかとなった。 ラット肝ミクロゾームを用い、【FeSO_4】-ADP共存下、NADPHと好気的にインキュベートし、誘発されるLPOをTBA反応性物質の生成を目安として追跡しつつ、ミクロゾーム膜脂質の構成脂肪酸の変化をGLC法によって測定すると、多不飽和脂肪酸の著しい低下が認められた。このうち、最も著しい含量低下を示したものは【C-(22:6)】であったが、活性酸素源としては、【C-(20:4)】の役割が最も大きいことが明らかとなった。 上記LPO誘発条件下、ラット肝ミクロゾーム中に含まれるチトクロムP-450は、著しく低下し、ベンゾ〔a〕ピレン水酸化や7-エトキシクマリンの脱エチル化を触媒する活性をほとんど失った。 上記LPO誘発条件下、ラット肝ミクロゾームは、7,8-および9,10-ジヒドロベンゾ〔a〕ピレン(DBP)やアフラトキシン【B_1】よりSalmonellatyphimuriam TA98に対し強力な変異原を生じさせた。TA98の変異は、アルキルパーオキシおよびアルキルオキシラジカルの捕捉剤であるα-トコフェロールやBHTにより強く抑えられた。DBPより、この系で生成する直接変異原は、対応するオレフィン二重結合のエポキシドであることが、エポキシドの転位成績体力ルボニル化合物、エポキシドの加水分解成績体であるトランスおよびシスグリコールを単離・同定することにより、間接的に証明された。さらに、より安定なエポキシドの生成は、モデル化合物としてアンドロスタ-5,16-ジエン-3β-オールを用いて確認された。
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