肝小胞体膜脂質パーオキシラジカルを活性酸素源とする薬物の酸化

1988 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 61480432
• Research Institution: Tokyo College of Pharmacy
• Principal Investigator: 渡部 烈 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00057316)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 平塚 明 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (20165179)
• Keywords: 肝ミクロゾーム脂質過酸化 / グルタチオンペルオキシダーゼ / 脂肪酸ヒドロペルオキシド / 活性酸素 / ロイコトリエンA_4 / エポキシドヒドロラーゼ

Research Abstract

ラット肝ミクロゾーム(Ms)中に存在することが筆者らによって見出されたグルタチオンペルオキシダーゼ(GSH Px)を単離精製することに成功し、これが新しい酵素であることをつきとめた。成果の概要を以下に列挙する。
1.ラット肝MsをTritonX-100を含むリン酸緩衝液で可溶化した後、105000xg上清をDE52、CM-Sephadex C-50、Sephadex G-25、ヒドロキシアパタイト各カラムで順次精製し、SDS-PAGE的に均一なタンパク質としてGSH Pxを収率2.3%で得た。
2.上記精製GSH Pxは分子量1.5KDであり、ラット肝細胞質より単離したセレン含有GSH Pxの抗体とは免疫化学的な反応性を示さなかった。この新しい酵素をmGSH Pxと命名した。
3.mGSH Pxはリノール酸、リノレン酸、アラキドン酸およびこれらのメチルエステルの各ヒドロペルオキシドをGSH存在下で還元消去するのみならず、Msリン脂質ヒドロペルオキシドをも直接基質とした。
さらに筆者らは、アラキドン酸ヒドロペルオキシドから生成するエポキシドであるロイコトリエンA_4を水解する新しいエポキシドヒドロラーゼ(EH)をモルモット肝細胞質中に見出し、これを単離精製することに成功した。このHEは各種二置換オレフィンのエポキシドも水解することを明らかにした。

Research Products

• [Publications] Miki Ichiro.: The Journal of Biological Chemistry. (1989)
• [Publications] 渡部烈: 蛋白質 核酸 酵素. 33. 1405-1416 (1988)
• [Publications] 渡部烈: 蛋白質 核酸 酵素. 33. 2949-2956 (1988)